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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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158話 マジックシティ3

 翌日から魔石魔術の実地調査に参加する事になった金獅子は学院内の訓練場に集められていた。

 集められた学院生達の前に立つ学院内の代表教諭が言う。

「えー皆さんには新しい魔術技術である魔石魔術の実地調査に参加して貰います。魔石魔術とは魔石に魔術式を刻む事で魔術式の詠唱なしで魔術を発動させる新技術です。どのくらいの威力が出るのかも未知数ですので、くれぐれも怪我のないように注意して下さい。詳しい話は魔石魔術の研究者であられる朱鮫(しゅこう)先生から説明を受けて貰います。では先生、お願い致します。」

 代表教諭に促された魔石魔術の研究者、朱鮫が前に出る。

「ハイ、ワイが魔石魔術の研究者の第一人者の朱鮫言います。よろしゅうお願いしますね。学院生の皆さんには今からレベルに応じた魔石に実際振れて貰って魔石魔術の発動の実地調査を行って貰います。注意点としてはあまりにも魔力変換して魔力が膨大になった際にはすぐに魔力変換を止めずにゆっくりと絞るように魔力変換をやめて下さい。いきなり止めるとそれまで溜めた魔力が暴走する危険があります。せやから先に魔力変換が大きくなりそうやったら途中でも止める方向で頼んます。万が一怪我した場合には聖者さんもいてくれてますから、すぐに治して貰えます。その点は安心して下さい。ではレベル毎のグループに分かれて下さい。」


 グループ分けされた金獅子は他に4人の魔素は視えるが魔力変換は出来ない人達の組に入れられた。

 まず試すのは魔力変換だけの魔術式を組み込んだ魔石にだった。

 グループ担当の研究者が言う。

「皆さんは魔力変換が出来ないので魔力変換されたかどうかの判断も難しいでしょう。その点はこちらも考慮しています。魔力が視える眼鏡と言う魔道具がありますので、こちらを皆さんにはかけて貰います。魔石を持って貰って魔力変換するつもりで握り込んで下さい。上手く行けば魔石が魔力を帯びているのが眼鏡を通して視えるはずです。」

 そう言って握りこぶし大の魔石と魔道具の眼鏡を配って行く。

「では始めてください。」

 金獅子も魔石を握りしめて魔力変換をイメージする。そもそも魔力変換が出来ないのでイメージもないもないのだが、金獅子は魔石が輝き出す事をイメージした。魔力は輝くものだと考えたのだ。

 最初の30分は皆何も起きずにいた。

 だが、30分後に1人の学院生が

「教諭!魔石が光ってます!」

 と言い出すと次第に周りの学院生達も

「光ってる!」

「魔力変換出来たんだ!」

「魔力が光って見える。」

 と言い出した。

 あとは金獅子だけである。

 自分以外の4人が成功した事で少し焦る。

 皆魔石が光ると言っていたのでイメージ的には間違っていない。あとは適性だろうか?

 自身の適性の低さを思いだし諦めかけた時、微かに手元の魔石が輝いたように見えた。

 今一度深呼吸してから魔石を握り混む。

 すると魔石が確かに光り輝いている。微かにではあるが間違いなく光っているのだ。

「おぉ!俺様も出来たぞ!」

「やったね。金獅子さん!」

「金獅子さんなら出来ると思ってたよ!」

「さすが金獅子さん」

 魔族領での魔術行使を実際に間近で見てきた金獅子は軽く有名人だ。

 同じグループの4人から口々に賞賛の声が上がる。

「いやー1週間もしないで魔力変換が出来るようになるとは、これは時代が動くな。」

 担当の研究者が言う。

 次は魔力変換の魔石と生活魔術であるファイヤの術式を刻んだ魔石の2つを握る。

 魔石は拳大な為、両手で1つずつ握りしめる。

 ここからは魔力操作も必要になってくる。

 魔力変換の方の魔石で魔力に変換したらその魔力を逆の手の魔石に流す必要があるのだ。

 金獅子もやってみる。

 まずは魔力変換。これはすでにマスターした。

 あとはこの光り輝く魔力を反対の手に持ってくる事が必要になる。

 魔力を感じつつ手首、前腕、二の腕、肩へと魔力を運ぶ。さらに鎖骨を通って反対の肩に、次は二の腕、前腕、手首、いよいよ握りしめた魔石へと魔力を流す。

 すると魔石を握りしめた手から火が立ちのぼった。

 一瞬ではあったが確かに火がついたのだ。

 金獅子は興奮した。これが出来るのなら以前夜王がやっていた魔術剣が自分にも出来るようになるかもしれない。


 そんな金獅子達のグループに研究者の代表である朱鮫がやってきた。

「このグループは順調なようやね。どうや?初めて魔術を使うた感想は?」

「凄いです!」

「素晴らしいです!」

「魔石魔術完璧です!」

「尊敬します!」

 他の4人が口々に賞賛の声をあげる中、金獅子は本題をぶつける。

「朱鮫殿と言ったか。率直に聞くがお前は神徒か?何かの王なのか?」

 ビクッと反応する朱鮫。

「なぜ、あんさんが神徒の事を知っとるん?」

「俺様も神徒だからだ。俺様は獣王国の国王、獣神の過去を持つ獣王だ。」

「な?!なんで一国の王が学院生をやっとるん?」

「それはお前に会う為だ。魔石魔術が最近実りを迎えたと聞いてな。最近王になった者が関係しているのではないかと思って学院生となり待っておったのだ。」

「なるほどな。ようやるな。確かにワイは法神の加護を受けた法王や。」

「やはりそうか!それなら俺様と一緒に邪神を倒すために来てくれ。」

「ちよっと待ちぃ。邪神の兵が攻めてくる言う事は法神から聞いて知っとる。だからこそ、この魔石魔術で魔術を使える魔術師を増やそう思ってん。」

「なに?」

「敵の戦力がわからんけども戦える兵士は多いにこしたことはないやろ?せやから魔石魔術で魔術師を量産すんねん。」

「魔術師を量産か。」

「せや。まだ邪神が攻めてくるのには時間あるやろ?せやからあと半年、あと半年で魔石魔術を完成させる。それまでワイに研究を続けさせて欲しいんよ。」

「半年か。確かにあと7ヵ月くらいは余裕はあるはずだが。」

「せやろ?だからあと半年待ってぇな。魔石魔術が完成したら合流するさかい。」

「そうか。わかった。半年後だな。聖都に来てくれ。人族領の中心地だ。そこが待機場所になるはずだ。」

「わかった。半年後には魔石魔術を完成させて合流するわ。」

「あぁ。半年後。待っておるぞ。」

「ほな、あんさんはこの後はどうするん?ここで魔術の特訓でも続けるんか?」

「俺様は残りの神徒を探しに行く。聞きたかったんだが、マジックヘブンにお前以外の王はいそうか?」

「いや。ワイは聞いたことないわ。」

「そうか。では次の捜索地からは除外しよう。」

「せやな。マジックヘブンにはおらんと思うわ。」

「わかった。では俺様は次の捜索場所に向かうとしよう。魔石魔術、期待しているぞ。」

「おぅ、任しとき。」

 と言う事で金獅子は学院を離れ、次の捜索地へと向かう事にした。

 教諭には稀な人材だから残って魔術の勉強をして欲しいと引き留められたが、まずは神徒探しが優先だ。


 次は死者の砂漠の北に位置するモーノ共和国へと向かおうと思う。

 移動する際には連絡すると緑鳥に伝えていた為、通信用水晶を介して肝胆にモーノ共和国へ向かう事を伝える。

 馬留に預けていた早馬を受け取り、一路砂漠の北へと向かうのだった。


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