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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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156話 マジックシティ1

 獣王国を出立して11日目、金獅子は魔術大国マジックヘブンの第二の都市であるマジックシティへと到着していた。

 首都マジックヘブンには研究機関であるタワーがあるが、ここマジックシティには魔術師を目指す者達が通う学院が存在する。

 その為、街は学生服を着込んだ学生達で溢れていた。

 学生服はお決まりの学院のマークが右胸についたマントだけであり、その下は各自自由な格好をしている。

 学院のマークは杖が上下に描かれており、中央に学院の校舎を簡略化して描かれている。

 このマークがあるマントを羽織っている事が学院生である証拠となる。


 金獅子はまずは宿屋を探し、その後は宿屋の食堂や、街の酒場、傭兵ギルドなどで情報収集した。

 もしかしたら学院生の中に神徒が生まれているかもしれない。

 そうであればここ最近で名を上げた者がいるはずである。

 1日目、2日目、3日目、4日目と情報収集したが、これと言った情報はない。

 最初の3日間で魔道具屋も尋ねたが、通信用の水晶を取り扱っている店はなかったのだが、4日目にして目的の商品に辿り着いた。

 なんでも今朝入荷されたばかりだとか。

 金獅子は通信用水晶を追加であるだけ買った。全部で5つあった。

 結構な額はしたが、有用性を考えれば安いものである。

 さらに5日目にして有力な情報を掴んだ。

 マジックヘブンにて今まで研究されてきた魔石に魔方陣を刻んで詠唱なしで魔術を放つ技術が実りを迎えたと言うのだ。

 これがあれば魔素から魔力を抽出、さらに魔力操作さえできれば誰でも魔術が使えるようになると言う。

 ただし魔石に刻める魔方陣は1つだけの為、複数の魔術を使うにはその分魔石が必要になるらしい。

 そんな魔石による魔術の実地調査の一環と称して魔石魔術の研究者がここ、マジックシティの学院へとやって来ると言う。

 魔石魔術の研究自体はかなり前から行われていたらしく、ホントにここ最近でやっと実用化を迎えたらしい。

 となるとここ最近で神徒となった者が関わっている可能性はないだろうか。

 そんな期待を胸に宿屋に戻った金獅子はここで緑鳥からの水晶通信を受信した。


『金獅子様、わたし達は銀狼様と蒼龍様の義手作製の為に訪れたドワーフ王国にて大地母神の加護を得た王と出会う事が出来ました。』

「なんと。ドワーフ王国に1人いたか。」

『はい。さらに先程白狐様達に連絡をした所、エルフの里にて精霊神の加護を得た王も発見したとの事です。』

「おぉ!やはり精霊神はエルフに加護を与えたか!」

『はい。残るは守護神、法神、軍神、魔神の4柱の加護を与えられた王を探す事になります。』

「そうか。俺様は今は獣王国の隣の魔術大国マジックヘブンの第二の都市であるマジックシティに来ておる。まだ神徒は発見出来てはいない。」

『そうですか。銀狼様と蒼龍様の義手は1週間で出来上がるとの事ですので、それが済んだらお二人にもそちらに向かって頂きましょう。』

「1週間か。もしかしたら移動しているかもしれん。その時は改めて連絡しよう。」

『分かりました。どうかお気をつけて。』

「あぁ。そちらもな。」

 そう言って通信は切れた。


 マジックシティとマジックヘブンの間の距離を考えると徒歩で2週間、馬車など使えば1週間と言ったところだろうか。

 今からマジックヘブンに向かったとして行き違いになる可能性が高い。

 それならここマジックシティで一行の到着を待つべきだろう。

 問題は学院に来たとして、どうやってその研究者と接触するかである。

 もちろん部外者は学院に立ち入る事は出来ない。

 となると宿泊先などを突き止めて直接交渉に持ち込むか。

 だが、タワーの研究者ともなればそれなりの地位があり、護衛等もいるだろう。

 そうなると接触するのが大変難しそうである。

 一晩考え抜いた金獅子は学院に入る事を決めた。入学である。


 学院生になるには簡単な筆記試験と適性検査を受ける必要があるのだが、幸い試験はいつでも受けられる。

 簡単なと言ってもそこは魔術に関する知識である。一般人には難しい内容になっているだろう。

 まずは簡単な魔術に関する知識を頭に入れる為、翌日金獅子は街の書店へと赴き、『魔術の基礎』なる本を購入した。

『魔術の基礎』には魔素の感じ取り方から魔素の濃い場所、薄い場所。魔素を魔力に変換した後の魔力の操作方法から魔力を術式に込める方法。魔術で構築出来る8要素やそれぞれの利点弱点等々、魔術師に成る上で必要な知識が網羅されていた。

 金獅子は丸1日かけてその本を熟読し、翌日学院生になる為の試験を受けに行った。

 筆記試験は見事に合格。あとは適性検査をパスすればいい。

 適性検査には自信があった。

 なんと言っても王化した際に雷属性を操っているのだ。自分には雷属性の適性があると信じていた。


 適性検査はとある部屋に呼ばれて、中に置いてある水晶に手をかざすだけの簡単なものだった。

 その水晶は手をかざした人の適性属性を色で現すと言う。

 氷なら銀色、火なら赤色、水なら青色、雷なら金色、土なら黄色、風なら緑色、光なら白、闇なら黒といった感じだ。

 金獅子はてっきり金色に光り輝くと思っていた。

 しかし、水晶は微かに青く光っただけだった。

 適性としてはなくはないが、行使出来ても初級魔術程度だろうと。

 それでもよければ入学は認めるとの事だった。

 学んでいるうちに適性を伸ばすこともあるらしいので、まずは生まれながらの適性があるかないかの確認らしい。

 それにしても青色か…水属性か…雷属性じゃないのか…。

 金獅子は少し残念だった。

 まぁ本題は魔術を学ぶ事ではない。

 学院に入り込み、マジックヘブンから来る研究者と接触する事が目的だ。

『魔術の基礎』を読んで魔術に興味は持ったが、今は悠長に学んでいる暇はない。

 と言う事で金獅子は学院生となったのである。


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