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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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151話 ドワーフ王国1

 所変わって聖都セレスティア。

 緑鳥の紹介で銀狼と蒼龍が義手造りを始める為に、隣国のドワーフ王国に手配を依頼していたのだが、準備が出来たとの事でドワーフ王国まで向かう事となった。

 緑鳥の時は移動が難しかった為、採寸、接合などはドワーフ王国から人を派遣して貰ったが、動ける2人ではドワーフ王国に直接向かった方が早いからだ。

 ちなみにドランは聖都に置いてきた。側近達が面倒を見ているはずだ。


 ドワーフ王国に着いた3人は早速義手作成の工房に向かう。

「はい、ご用は?ってあんた聖王様じゃないかぁ。義手か義足に不具合でも出ましたかぁ?」

 店主の背の低いヒゲ面の男性が言う。

 ずんぐりむっくりした体形をしたその男の種族はドワーフと言う。

「いえ。今日はこちらのお2人に義手を作成して頂きたくて。」

「どれ。片腕と前腕部分かぁ。んじゃまずは採寸すっからこっちに来いねぇ。」

 場所を移してまずは専門家による採寸からだ。


 採寸担当は背の小さい髭面の女だ。

 ドワーフは男女に関係なく髭が生えるのだ。

「はい、じゃあまずは残ってる方の腕を測るからねぇ。」

 銀狼は左腕の長さを測られる。

「はい、72cmだねぇ。」

 次に肩から肘、肘から手首、手首から手のひら、手のひらから各指の長さを測られる。

「はい、次は切断面を見せてもらおうかなぁ。」

 右腕の切断面を測る。

「はい、お終い。次はそっちの人だねぇ。まずは今つけてる義手外してもらおうかなぁ。」

 蒼龍は左前腕に義手を外す。

「はい、じゃあまずは残ってる方の腕から測るねぇ。」

 右腕を測られ、肩から肘、肘から手首、手首から手のひら、手首から各指を測る。

 そして次は左腕の残っている上腕の長さ、切断面を測る。

「はい、お終い。」

 採寸担当の女ドワーフは店主の男ドワーフに引き継ぐ。


 店主の男ドワーフは緑鳥に向かって言う。

「素材はオリハルコンでいいんだよねぇ?お値段張るけどぉ?」

「はい。オリハルコン製でお願い致します。」

「そうかい。んじゃ2つ合わせて2週間ってところが一般的なんだけど、最近技師が神の加護を得ただかで仕事がえらく早くなったもんでねぇ。2つで1週間も見て貰えば十分だよぉ。」

 なんでもないことのように言い放つ店主の男ドワーフだったが、その話に3人は食いついた。

「神の加護を得たと言ったか?」

「その方はどちらに?」

「是非合わせて欲しい。」


 3人の見幕にタジタジの店主の男ドワーフだったが、工房内に案内してくれて、その話題の人物に会わせてくれた。

「初めまして。わたしは聖都で聖王をしております。緑鳥と申します。」

「おん?聖王様がこんな工房内になんか用かい?義手、義足の調整なら調整役がいただろうにぃ。」

 他のドワーフ同様にずんぐりむっくりした小柄な体形に確かな筋肉を備えた髭面の男が言った。

「いえ。今のところ義手にも、義足にも問題はありません。本日は別の方の義手作成を依頼しに来ました。」

「そうかい。聖王様の紹介じゃオリハルコン製だろぅ?チョチョイと作ってやるから待っててなぁ。」

「はい。いえ、それだけではなくて、貴方が最近神の加護を得られたとお聞きしまして。」

「おん?あぁ。つい最近大地母神様の加護を貰ってなぁ。それからと言うもの生産能力が飛躍的に上がってねぇ。」

 ドワーフの男は顔中の髭を引っ張りながら話す。癖だろうか。

「大地母神?!やっぱり!貴方は神徒に選ばれたんですよ!!」

「こうもすぐ見つかるとは驚きだな。」

「見つかる時はこんなもんだろ?」

 興奮する緑鳥に対して蒼龍と銀狼は以前にも神徒探しを経験済みな為、そこまでの興奮はない。

「お名前は?貴方のお名前はなんと?」

 勢い込んで話す緑鳥に若干惹きながらドワーフの男は髭を引っ張りながら答える。

「儂は茶牛(さぎゅう)と言うだぁ。大地母神様からは地王と言う二つ名を貰っただよぉ。」

「地王!間違いありませんね。神徒ですよ!」

「神徒ってのは大地母神様も言ってたなぁ。他の神徒と世界を救えっとかなんとかぁ。」

「そうです!貴方を探していました。一緒に来て下さい!」

「行くのは良いが先に義手作っちまうだよぉ。それからでいいべぇ?」

「あ、それもそうですね。よろしくお願い致します。」

「あいよぉ。任せておきなぁ。」

 と言う事で茶牛の義手造りが始まった。


 緑鳥達は手配してあった宿屋に向かった。

 それぞれの部屋に入る前に食堂で話をする。

「それにしても義手を作りに来て神徒を早速見つけるなんて、幸先良いですね。」

 緑鳥はまだ興奮状態だ。

「そうだな。これで白狐もエルフの里で白狐がもう一人見つければ残り4名か。」

「そこからが大変だろうな。なにせ何も情報が無い。」

 銀狼も相槌を打つが、蒼龍には懸念事項があった。

 前回は種族長などが神徒となっていた為、比較的集まりやすかったが、今回はヒントが少な過ぎた。

「ひとまずは通信用の水晶で白狐様と金獅子様に1人発見した事をお伝えしますね。それに義手の出来上がり日程についても共有しておきます。」

「あぁ。頼む。」

 そして銀狼と蒼龍の2人は他の4名が居そうな場所について話し合うのであった。


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