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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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143話 凱旋1

 一行は順番に吊り橋を渡り、森の中へと入っていく。来た道を戻るだけだ。

 吊り橋を渡る時にはまた高所恐怖症の銀狼が騒いだが、緑鳥に手を引かれてどうにか渡りきった。

 切り立った岸壁に左右を挟まれた通りではまた蛇型の魔獣が出てきたが、ラミアやエキドナのような人型の蛇はもう狩り尽くしたのか出てくる事はなかった。

 そんな道を進む事2日間、一行は森へと入った。


 途中に出てくる魔物はそこまで強力な個体はなく、ワイルドベアやワイルドウルフ、レッドベアにレットボアなど、王化せずとも倒せる敵ばかりだった。

 行きの道中であらかた強大な魔物は倒し尽くしたのだろう。

 竜魔族の支配エリアまでは約2週間。森の中を進むことになる。トレントやアルラウネなどの魔樹、それに魔花にも気を付けねばならない。

 しかし、こちらも行きで随分と数を減らした為か、そこまで多くの魔物に出合う事はなかった。

 代わりに魔花が咲き乱れる箇所に出てしまい、多数の帝国軍兵士達が花粉に受肉されて暴れ出すと言う事があった。

 一定以上の力があれば受粉にも耐えられるようで、そこまで力が強くない兵士達が受肉されていた。

 その為、兵士を傷付けないように注意しながら頭に咲いた花を毟り取って難を逃れたのだった。

 最南端まで行く必要が無いためハーピー達がいた崖を避けるようにショートカット気味に移動している為、魔花の咲き誇る場所に出てきてしまったらしい。

 来るときには見かけなかった頭に花を咲かせたワイルドウルフやワイルドベアも出てきた。

 頭に花を咲かせた個体はいつもよりも凶暴性が増していたが、元々のランクも低ランクの為、難なく撃退出来た。

 途中2体のエルダートレンドに囲まれる事があったが、龍王が武王形態になり、紅色の槍燃やし、帝国軍兵士達にも火炎魔術が使える者が沢山いた為、特に被害無く切り抜けた。


 そんなこんなで10日後には森を抜ける事が出来た。

 森を抜けたそこは限りなく広がる岩場の土地。

 ドラゴンの生息地でもある。

 相変わらず、コモドドラゴンやリザードランナー、ジャイアントリザードと言った亜竜が多数の群れとなって襲ってきた。

 幸いにもドラゴンには遭遇せずに前進を続ける事が出来た。

 南端には行かなかった為、ドラゴニュートにも出合う事はなかった。

 しかしジャイアントコモドドラゴンに遭遇してしまった。

 その巨大はもうドラゴンと言っても良いほどでただ翼がなく空を飛ばないだけで火は吐くわ巨体で潰しに掛かるわで中々に手こずった。

「黒猫と銀狼で緑鳥達の護衛を頼む。俺様達は王化してさっさと片付けるぞ!」

「「おぅ。」」

「はい。」

 金獅子の掛け声に紫鬼、蒼龍、白狐が応え王化する。

「まずは機動力を削ぐ為に私と蒼龍さんで前脚を狙いましょう。金獅子さんと紫鬼さんはこいつの気を引いて下さい。」

「「おぅ。」」

「おうよ。」

 破王が右前脚、龍王が左前脚を集中的に攻撃する。

「断頭斬!」

 獣王が跳び上がりその首を断とうとするもいっちょ前に竜鱗のような外皮をもっており、中々刃が通らない。

 鬼王は吐き出される火炎ブレスを避けながら顔面に拳を叩き込む。

 暫くは暴れ回ったジャイアントコモドドラゴンだったが、両前脚を切り刻まれ、動けなくなった所を何度目かの獣王の断頭斬で首を刎ねて倒した。

 これだけでかなりの量のトカゲ肉を確保したのだった。

 この頃にはハーピー肉も尽きていたので、ドランにもトカゲ肉を与えていた。

 やはりただ焼いただけでなく、塩コショウしたものを好んで食べた。


 そんなこんなありつつも毎日移動を続けて、さらに10日後には地面が水に覆われた海魔族の生息エリアまで到着したのだった。

 黒猫が影収納からゴム長を取り出し皆に配る。

 帝国軍兵士達もゴム長を着込む。

 1面が浅瀬になっている為、濡れないようにする為だ。

 海岸線を歩くと海魔族が多数出現するし、最東端にまで行く必要はない為、ショートカット気味に内陸部を進む。

 内陸部にはリザードマンやサハギンなど、海に潜らないが水場に住む魔物に遭遇した。

 こちらも低ランクの魔物の為、王化せずにも難なく倒せた。

 途中リザードマンキングなる他のリザードマンよりも巨大なリザードマンにも遭遇したが、王化した白狐が首を刎ねて倒した。

 最東端を経由しなかった為、来たときよりも短い6日間で水辺のエリアを抜けた。

 ゴム長を履いていると多少動きが制限される為、皆解放されたような気分になった。


 その後は草原に出て、魔獣退治をしながら先を急いだ。

 グリフォンやフェンリルと言った大型魔獣も単体もしくは3体程度の群れで出てきたが、都度王化して退治していった。

 行きと事なり黒猫が王化出来なくなり、銀狼が隻腕となり、灰虎に黄豹も失ってしまった為、戦闘可能な人数が減って多少手こずったが大きな問題はなく対処出来ている。

「やっぱり王化出来ないと守られる側だよな。」

 ポツリと呟いた黒猫の言葉を拾えた者はいなかった。


 ここまで金獅子達が先頭を歩き大型魔獣と対峙している為、帝国軍兵士達にも負傷者は出ていない。

 途中ユニコーン同士の縄張り争いに巻き込まれる場面もあったが、すべて倒して馬肉を入手する事になった。

 そして草原を歩き続け、海魔族のエリアから13日目の夕方にしてようやく獣魔人の街へと辿り着いたのだった。


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