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ヴィーナスの誕生?

「くっ……止めろ!! 余にそんな趣味はない。服を破くな!! パンツまで……それだけは死守するぞ」


 何処からともなく、ヒューイの叫び声が響き渡ってきた。バナナの月(三日月)の日まで時間はあるはずなんだけど……咎人やゴリクトンを撃破した事で、私達が来た事がバレたのかも。それで、無理にでも儀式を始めようとしてる可能性がある。


「裸になるのも案外悪くないんだが……」


 マンが見当外れの事を言ってるのは放っておくとして……


「きっと、地図にある大広間に主はいるはずです。急ぎましょう。主の貞操を守らないと!!」


「ちょっと!!」


 貞操って……【クイーン】が復活したら、ヒューイが伴侶になるにしても、言葉を選ばないと。


 モモは私達が止めるよりも早く、【MAP】に表示されている大広間まで走り抜けていく。その間に咎人達と遭遇しなかったんだけど、理由はすぐに分かった。


「ぷっ……ちょっとアレは」


 大広間には巨大な窪みがあり、それを囲うように咎人が多数集まっていたからだった。それも全員がマスクを外した状態。


 天井部分には大量のバナナで作られた球体が……それも発光してる。これが月と見立ててるなら、私達の予想は外れた事になる。


 ヒューイの安否はどうなのか? 無事ではあるんだけど……モモが笑いを堪えられず、足を止めてしまってる。


 窪みの中心部……そこに生け贄のヒューイが一人立たされていた。しかも、下にはバナナの皮が剥かれたようなのが敷かれていて、ヒューイが実の部分みたいになってる。勿論、パンツを脱がされた状態で、胸とアソコを両手で隠してる。


「まるでヴィーナスの誕生みたいな姿だな」


「ぶっ!! 不意にそういう事を言うのは止めなさいよ!!」


 マンの何気ない発言に、紅もモモに続き、吹き出してしまったから。有名な絵画だけに、想像しやすかったのかも。


 私の場合は何とか堪える事が出来た。ヒューイの代わりに、マンがあの場にいたら駄目だったと思うけど。


「ーーーーーー!!」


 窪みの中心部に掛かる道の前に三メートル以上? の大きさで、唯一服を着ている咎人が大きな声で何かを叫んでいる。それに呼応するように周囲の咎人達は歓声を上げた。多分、あの巨体の咎人がボスゴリラなんだろうね。


「『我等が神は未だに復活しない。だが、今回の人間ならば問題ないはずだ。種族の違う我等を一度は魅了した。この人間をこの地に落とせば、奴と共に神は登ってくるだろう』……と言ってるな」


「【そんなバナナ】は翻訳だけじゃなくて、通訳も出来るのね」


 紅は感心してるけど、ヒューイは結構ヤバい状況に陥ってる。多分、ヒューイも自身で脱出しようと【カリスマ】や【マインド】を使用して、逆に墓穴を掘ったみたい。その結果、ヴィーナスじゃなく、ヒューイの誕生になったわけ。


「髪型も前と違ってるから……」


 ヒューイが服を脱がされた時点で、髪も一緒に切られて、底に落ちたのかもしれない。次は血……じゃなくて、ヒューイ自身を穴に落とす事で、【クイーン】がそれを助けると思ってるみたい。


「ーーーーーー!!」


「カウントを始める!! 十……九……」


 マンの通訳でカウントが始まった事が分かった。このカウントは勿論……

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