黒幕はヒューイ?
「今更なんだけど……この誘拐自体がヒューイの仕業なんかじゃないよね? あそこにいるのはマスクマンだし」
宝箱があるのは気になるところではあるんだけど、その場所を守ってるのがマスクマン二人なんだよね。マスクが特別クエストの引き金となっていても、敵までマスクをしてるとなると……
「確かに……ですが、主の仕業ではありませんよ。流石にそこまで馬鹿ではないですし、マン様の勝負を投げ出す事もしませんから。主ではなく、カズハ様が拐われていたら話は変わってきますが……」
「カズハが拐われたら、ヒューイの仕業になるわけ? 【救出作戦】の内容を見たけど、【闘技場】のアイツが第三王子だったんでしょ。カズハはそこまで恨まれてたの?」
そういえば、紅にはちゃんとした経緯を説明してなかった。言いたくもなかったんだけど……
「その逆ですよ。主はカズハ様にプロポーズ的なものをしてましたから」
「ちょっと!! それは別に言わなくても……断るつもりなんだから」
とぼけるつもりだったのに、モモが先に言ってしまうもんだから。
「ぷっ!! カズハにプロポーズ!? えらい奴に好かれたものね。千様の事は私に任せて、付き合うのも面白いんじゃないの?」
紅は他人事だと思って、好き勝手な事を言ってくるんだから。
「けど、そこは筋肉が文句を言うでしょ。パートナーを奪われたくないだろうから。そこのところは……あれ? 筋肉は……」
「マン様なら、宝箱の方へ走っていきました。余程、宝箱の中身が気になるのかもしれませんね」
マンは私達の会話を無視して、宝箱のある方へ突き進む。そこにはマスクマン二人が立ちはだかる事になるだろうけど、マンがそこまで宝箱の中身を気にするようなタイプじゃないと思うんだけど……
そんな風に思ってる間に、マスクマン二人相手に奇襲となる【ランニングネッグブリーカー】で、両腕を相手の首に掛け、全体重を乗せて倒れ込んだ。その威力にマスクマンはピクリとも動かない。これもプロレス技なんだろうけど、【アーツ】扱いじゃないから。
「うわ……あれはエグいわね。絶対喰らいたくないやつだわ。下手したら、首の骨が折れるんじゃないの?」
「マンは【アーツ】が使えないから。素でやってるからね」
「「…………」」
プロレス技なんだろうけど、改めてマンの凄さを目にして、私と紅は黙ってしまったから。しかも、マンはあれで本領発揮してないわけだから。
職業【漢】は装備なしでこそが一番強くなる。パンツまで脱ぐと更に強くなるみたいだけど、それは色々とアウトだから。今は【ゴブリンパンツ】を履いてるからいいけど、たまに脱いでる時があるから……
「あっ!! いつの間にかマスクもしてるし……」
「マスクをしてる事で、相手を油断させたんじゃないの? そういうところも抜け目ないみたいね」
紅はそんな事言ってるけど、マンがそこまで考えてるとは思えないんだけど……
「マン様!! 牢屋や宝箱に罠があるかもしれません。先に私が調べます」
モモは敵のマスクマン二人をマンが倒した事で、牢屋の方へ移動する。モモが言うように宝箱自体に罠が設置させてるとか、牢屋に鍵が掛かっていたりするからね。
「って……マン様は一体何を!?」