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お姫様抱っこ

「ああっ!! どうするのよ!! 滑車が壊れてしまったら、中に入る事も出来ないじゃないの」


「他の出入口を捜しますか? 【フォース】の中にも井戸は幾つかあります。兵士達の目を掻い潜り、住人達を(さらえたのも、そちらからかもしれません」


 紅はマンが余計な行動に怒り、モモは今の状況から次にどう動くかを考えていて、マンを心配する感じがないんだけど……と思いつつ、私自身もそこまで心配してなかったりする。


【ユニユニ】で死んだところで復活するから……じゃなくて、マンが落下したところで、普通に着地してそうなイメージがあるから。千城院さんも【ナイトメア】戦、私を助けに入った時、結構高い場所から攻撃を仕掛けてた事もあったし。


 けど、私や紅の場合はマンとは違って、涸れ井戸の中に飛び込んで、死なずに済むのかは話は別だから。



「あっ……マンからメールが来た」


【MENU】の【フレンド】欄から、メールを選択すると、マンからのメッセージを確認する事が出来る。


『問題ない。無事に着地したぞ。飛び込んできたら、こちらで受け止めよう』


 やっぱり、マンは落下ぐらいでは死ぬ事はないみたい。涸れ井戸の中を見てみると、僅かながらに光があるのは【光のランタン】を使用したのかも。


「マンが飛び込んできたら、受け止めてくれるらしいんだけど……誰が先に行く?」


「あの高さから落ちて無事だったのですか!? 流石というべきか……」


 モモは涸れ井戸を覗き込み、素直に関心してる。着地地点が本当に深い場所なんだと思う。


「パ……ブラックのライバルだから当然生きてるとは思ったけど……飛び込むとなると」


 マンが失敗した場合……即死? 復活すると分かっても、怖い事は怖いのかもしれない。


「筋肉にお姫様抱っこをされる形になるんじゃないの? それをされるなら千様の方が……別に触られたくないわけじゃないから」


「そっち!! 気持ちは分からなくもないけど」


 マンに受け止められるのはそういう事だよね。仕方ない事とはいえ、お姫様抱っこされるとしたら、相手を選びたい気持ちは分かる。私の場合は千城院さんを受け止めたい方……じゃなくて!!


「私が先に行ってもいいけど、タイミングを合わせるなら、最後の方が安全なんだけど?」


 マンとのメールのやり取りで、飛び込むタイミングを教えてあげる事が出来るからね。


「分かりました。それでは、私が先に行きます。【オールライト】を使えば、マン様も分かりやすくなるはずですから」


 モモの【オールライト】は広範囲に光を届けるから、マンも受け止めやすくなるのは確かだわ。


「了解。マンにはモモが飛び込む事をメールするから。返事が来たら、飛び込んでいいから」


 マンにはモモが【オールライト】を使用する事も伝えておく。じゃないと、逆に目眩ましになって、失敗するかもしれないし。


「OKみたい。モモは涸れ井戸の中に飛び込んで」


 私の言葉に、モモは涸れ井戸の中へ。途中から【オールライト】の使用で、先々が良く見えてくる。


 モモもただ飛び込むだけじゃなく、涸れ井戸の壁を左右へ蹴りながら落下して、少しでもスピードを下げてる。三角飛びの応用みたいな感じね。


「凄いわね。なかなか出来ない芸当だと思うんだけど」


 紅もモモの行動に関心してる。最後までは無理だったけど、マンもちゃんとキャッチ出来たと思う。


「モモは無事にマンが受け止めたって。次は紅の番ね」


「彼女が出来たわけだから、私が出来ないわけがないわね。最後まで出来たら、お姫様抱っこも回避出来そうだし」


 紅はモモの真似をして、三角飛びでマン達がいる場所まで行くつもりみたい。紅の職業は【双剣士】ではあるけど、本来はダンスをやってるみたいだから、リズムよく蹴っていけば、成功するかも。


「それじゃ、お先に行くわね……ちょっと!! ヌメってるなんてきいてないんだけど!!」


 壁のヌメリに、紅は最初の三角飛びで失敗したみたいで、体勢を崩して落下していく。多分、あの体勢を見るに、上手くお姫様抱っこの形になりそう……


 私の場合は紅みたいに失敗したくないから、マンに身を委ねて、素直に飛び込む事にした。

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