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見事なまでの引き締まったお尻である

 数分後……


「本当に何なのよ!! 斉藤さんの馬鹿!!」


 PKはあの悪党二人組だけじゃなかったみたいで、炎や氷が飛んできたり、風の刃? みたいなのが木々を切ったり、無数の矢が降ってきたりと酷い有様よ。しかも、相手はなかなか姿を見せないし、魔法?を【受け流す】のは流石に無理があるからね!!


 こんな事になったのも、斉藤さんが危険な場所に送り込むから。私が何度も斉藤さんを怒ったからなんだろうけどさ……


「どれだけ【プロテイン】が欲しいのよ。初心者相手にこんな事をしてさ。すぐに辞めるプレイヤーが出てくるはずだよ……私は絶対辞めないけど」


 木々に隠れて、少し休憩。攻撃が止んだのはPK同士で争ってるのか、【アーツ】の硬直時間なのかは分からない。少しずつ、攻撃の数が減ってる気はするんだけど……


「今は【嘆きの森】の何処にいるんだろう? 待ち伏せとかされてて、反対、反対に進んで行ったから……って、元の位置まで戻りそうじゃないの!?」


 最初の悪党二人組が襲ってきた場所まで逆戻りするとか最悪でしょ。【嘆きの森】を一気に駆け抜けないと、ポコポコとPKが生えてくるだろうし……


「はぁ……最初からそうすれば良かったのかも。森の中は動きにくいけど、木が遮蔽物になってくれるみたいだから」


 PK達の魔法や矢が当たらなかったのも、木々が邪魔をしてくれてたのもあると思う。ここを抜けるためには、それを利用するしかないかな。


「よし!! 行きますか!!」


【MAP】で【アイン】がある方向を確認して、私は走り始めた。


「いたぞ!!」


「まだヤラれてないみたいだ」


「早い物勝ちだぞ!!」


 悪党達の声が聴こえてくる。やっぱり、相手も諦めて帰る事はないみたい。またしても、遠くからの攻撃ばかりだし!!


「本当にいい加減にして。攻撃するにしても、私の前に現れなさいよ!! 卑怯者!!」


「【ファイアーボール】!!」


 答えを返すように、前方からバスケットボールぐらいの炎の玉が飛んでくる。遮蔽物はあるといっても、攻撃を全てを防いでくれるわけでもない。回避行動は走る速度を遅くするから……


「やってやるわよ!!」


 魔法は無理と思ったけど、やるしかない。炎の玉だと形がある分、何とかなる!!


【ファイアボール】が私に直撃する……


「はっ!?」

「はっ!?」

「はっ!?」


「「「ありえないだろ!!」」」


「あつつつつつつ……やってみるもんだわ」


【ファイアボール】を受け流す事に成功。まぁ……右手はヤケドしたみたいに痛みや痺れを発してるんだけどね。上手くやれば、痛みなくやれそうな気はするんだけど……悪党が叫んでる分、十分な成果でしょ。


「って!! ちょっと待って」


【ファイアボール】を【受け流し】出来た事に喜んだせいで、足元を疎かにしてしまった。ここは森の中だから、木の根や蔦が変に伸びてたりして足場が悪く、見事に転んでしまった。


「イタタタ……最悪。ちょっとした事で喜んだりするなんて」

 

 足の痛みは大丈夫みたいだし、このまますぐに立ち上がれば……


「えっ!? 何々……煙が凄くて、目が開けられないんだけど!!」


 さっきまで何ともなかったのに、周囲に煙が立ち昇ってる。PKが煙玉でも投げたわけ!?


「へっへっへっ!! あんな事をしたと思ったら、木の根につまづくなんてな。煙玉で視界を遮らせて貰ったぞ。これで確実に仕留めらせてもらうぞ」


 木の枝が踏み折れていく音で、PKがこっちに近付いてくるのが分かる。魔法を【受け流し】から、直接攻撃に切り替えたのかもしれない。反撃しようにも目が見えないし、右手も未だ痺れた状態で、立ち上がれていないんだから。


 しかも、ドンっと近くで揺れる音がしたのは、相手が【アーツ】を発動させようとしてるなら、絶体絶命のピンチ……


「あっ!? 誰かいるのか? 煙でよく……ぎゃあああ!!」


 凄い風圧があったんだけど、何が起きたわけ!? 私の代わりに、PKの絶叫が響き渡って……


「おいおい……パンチだけで煙を吹き飛ばしただけじゃなく、仲間も……ヤバい!! 変態だ!!」


「ヤバい奴だ。逃げるぞ!!」


 PKは余程驚いたみたいで、『変態』の声が一番大きく聴こえたんだけど、変態って何? 私からしたら、追いかけてきたアンタ達の方が変態と思うんだけど……


 PK達の攻撃が止んで、逃げて行ったのは、誰かが私を助けてくれた? そんなの白馬の王子様とか、正義のヒーローみたいじゃない!! こんな事が私にも訪れるなんて。出来たら、千城院さんが良いんだけど……


「君……大丈夫か?」


 私を心配する男の声。さっきのPK達とは違う。それに千城院さんじゃないのは残念だけど……


「あ、ありがとうございま……ちょっと待って!!」


 煙が吹き飛んだお陰で、目を開ける事が出来たんだけど、目の前にあったのは引き締まった見事なお尻が……って!! 何も履いてない!?


 更に視線を上に向けていくと背中まで伸びた銀髪に、筋肉隆々の体をしていて……そんな、男がこっちを振り向こうもんなら……

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― 新着の感想 ―
[良い点] いちいち面白すぎて、空いた時間にちょっと読もうと思ったら全裸男の所まで読んでしまいました…… それにしても一葉がナチュラルに強すぎる( ´ω` ) [一言] 続きも読ませて頂きますね( …
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