男二人かくれんぼ?
「勝負は公平さを出すため、余の動きも制限を入れる。ルールとしてはこうだ」
・ヒューイは城内、【フォース】上層区及び、下層区における家の中に隠れるのは禁止。
・マンは街の住人に話を聞く事は可能。
・捜索時間は二十四時間。ヒューイは三時間経過で一度隠れた場所から移動出来る。ただし、再度同じ場所に隠れる事は出来ない。勿論、移動時に見つかった場合、ヒューイの敗北だが、その時はマンがヒューイの体に触れる必要がある。
・マンは【フレンド】の二人まで協力してもらうのは可能。
・カズハはヒューイ、マンの両方に手を貸すのは禁止
マンだけじゃなく、私にもルールが表示されたんだけど、私自身が景品になってるのに、蚊帳の外状態。今更、何を言っても仕方ないと諦めているけどさ……
ルールに関しては優位なのはヒューイだと思うけど、ちゃんと勝負出来るようにはなってると思う。
まぁ……問題はマンが街の住人達とちゃんと話せるのかもあるし、【フレンド】が……千城院さんに頼むなんて事は流石に……それが出来たら、羨まし過ぎるからね!!
「問題ない」
「それでは余が最初の場所に隠れるまで、一時間の猶予を貰おう。それからお前が捜索するところから、時間の経過が始まる事にする。余は先に行かせてもらうぞ」
ヒューイは怪我をしてるのが嘘みたいな速さで、部屋を出ていく。私の【ヒールLV2】の後、誰かに回復して貰ったんだろうね。
「はぁ……勝手に勝負を始めたのはいいけど、私は無関係だからね。どっちが勝っても負けても一緒。まずは私の許可が必要じゃないの?」
ヒューイが出て行ったところで、マンにその事は伝えておかないと。
「それは……そうだな。代わりに私が嫁に行くので構わないだろうか?」
「それは流石に無理があるでしょ」
マンは勝手に話を進めた事に反省してるみたいだけど、マン自身が代わりになるとして、ヒューイは絶対嫌がるから。
「そこは気にしなくても構いません。主が勝手にした事。契約書の一つもありませんし、【クエスト】の依頼にもなってないですから。単なる遊びと思ってください」
ヒューイと入れ替わるように、案内役のモモが部屋に入ってきた。
「一応、一時間が経過するまで、マン様がフライングしないように見張っておくように言われましたが……それ以外は何も言われてないので」
モモは【魔法少女ピーチ】のお面を付けたままで話すから、ヒューイをどんな風に思ってるのか、表情では全然分からない。
「主は自分が決めた仕事を放置して……勝手が過ぎるんです。マン様も無視しても良いんですよ」
いや……表情が分からなくても、モモがご立腹なのは分かるわ。
ヒューイの仕事というのは私とマンが許可書を得るため、何かしらの依頼を出す事なんだと思うけど、呼び出した理由が全然違ったからね。
モモが言った通り、【MENU】の中にある【クエスト】欄にも何も追加されてないし。
「確かに……【クエスト】にはなってない……が、一度決めた勝負だ。投げ出すわけにもいかないぞ。負けた場合は……後から決めるとしてだ」
マンはヒューイの勝負を受けたわけだけど、【クエスト】にはなってみたい。本当に男二人でかくれんぼをするだけになるんじゃないの?
「そうだ!! マンはヒューイに勝ったら、許可書を与えるとか言ってたけど、私はどうなるの?」
下手したら、マンが勝利しても許可書を貰えない可能性もあるわけだし、そこは知っておきない。
「それは主が仕事を放棄したという事で、王から依頼を受ける事になるかと。ただし、主とマン様の勝負が終わってからの方がいいと思います」
それは良かった……勝負の結果次第で、ヒューイから新たに依頼を受けるのは嫌だし……最初から嫌だけど。
「という事は……マンはヒューイと勝負するわけだし、【闘技場】に戻って、残りの三試合を……」
いや……待てよ。マンとヒューイのかくれんぼ勝負がまともでない可能性はないか? 隠れる場所に【闘技場】も実は含まてないか? 先に進みたいのは山々なんだけど、変な事に巻き込まれるのはゴメンかな……
「するのは止めて、今日はここで【ログアウト】するかな。バイトとかで全然休めてないし」
「そうなのか? 無理するのは体に悪いからな。次回には良い報せが出来るはずだから、期待していてくれ」
期待も何も、私はそこは無関係という事で……