マンは有名人?
「あ、アナタ様は!! 色々と話は伺ってます。どうぞ、城の中へ。案内役も用意していますので」
私とマンは跳ね橋を通って、城門前に到着。そこには門を守る兵士達がいたわけなんだけど、武器を向けられるどころか、予想外の歓迎ムードにビックリ!? いつもみたいにマンが怪しまれるところから始まると思ってたから……
「えっと……ギルドカードは確認しなくてもいいんですか?」
許可書を貰うにしても、D級以上じゃないと駄目なんだから、そこの確認は必要だと思うんだけど……
「D級なのは存じてます。【闘技場】での活躍。D級とは思えない程の強さを見せつけたとか。【ナイトメア】と相対した事も」
兵士が言ってるのはマンの事だよね? 【闘技場】の活躍もそうだし、【ナイトメア】の事はギルド関連で、城まで連絡が行ってるのかも。これでマンも千城院さんみたいな有名人になる可能性もあるんじゃないの?
「そうなのか? 【闘技場】を楽しんだだけで、目立つつもりは全くなかったぞ」
いやいや……マスクを装着しての【闘技場】参加は目立つに決まってるでしょ。まぁ……マンにそんなつもりがないのも分かってるんだけどさ。
そこは置いといて、【闘技場】やギルドからマンの情報が城へ報告されてるのは分かったけど、私の事は確認した方がいいんじゃないの? もしくは、マンのパーティーメンバーと連絡があったのかも。それはそれで千城院さんのパーティーに入りにくくなる気が……
「ご謙遜を。門を潜り、真っ直ぐお進みください。城の中に入れば、案内役はすぐに分かると思いますので」
私とマンは兵士達に促され、門を通り抜けた。その先には城があるわけなんだけど、身近で見ると凄い迫力がある。周囲には見事な庭園があったり、兵士達の訓練の掛け声が聞こえてきたりもしてるから。
「マンも寄り道とか、城の中を探検するとか止めてよね」
兄さんがやってたRPGだと、勝手に城内を探索したり、宝箱を盗んだり出来たから。【ユニユニ】が独特とはいえ、今は様子見した方がいいでしょ。
「それぐらいの礼儀は分かってるつもりだ。城に入るのは流石に初めてだが、問題ないぞ」
「城に入るのは誰でも初めてと思うけど……私もそうだから」
今思ったら、他のVRゲームをしてたら、城の中に入る事もあったのかもしれないのか……
「おおっ!! 一緒だな」
「……はいはい。そうだね」
マンは私に笑みを見せてくる。オッサンの姿なくせに、屈託のない笑顔は可愛く見えるのは不思議なんだけど!! マンの笑顔に弱くなってる気がするけど、オッサン好きじゃないから。
「それにしても、城の中に入る扉は開いたままなんだ」
門戸を開放してるようで、外からでも城内が見える。映画やアニメに出てくる風景にそっくり。
それと真っ先に視界に入ったのは様々な服装……職業の冒険者達が列を作って、待ってる姿。多分、ヒューマ王に許可書を貰うため、謁見するのを待ってるんだと思う。
「案内役がいると兵士は言ってたけど、あそこに並べはいいだけじゃないの?」




