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城下町


「やはり、雰囲気が良いのは下町だな。上の空気は苦手だ」


「まぁ……分からなくもないけど、そんなの食べても大丈夫なの?」


 私とマンは城に向かうため、【闘技場】を離れて、城下町方面へ。


 城下町は下層、中層、上層に分かれていて、下層は一般の民家が建ち並び、中層は商業区になっている。ギルドも中層にあるみたいだけど、今回はパス。上層は貴族が住む場所で、その先に城というルートになってる。


 私達が今いるのは上層の貴族が住む区画。レンガ造り等、豪華な建物ばかりが並んでる中、派手な帽子やドレスを着た貴族達が奇異の目で私達を見て、扇子で口を隠しながら、コソコソと何か話してる。


 私達以外の冒険者も歩いてるんだけど、その冒険者にも嫌な視線を送ってる。貴族達は私達みたいなのが嫌いなのかもしれない。


 その中である意味一番注目されてるのはマン。上半身裸で、下もパンツ一枚。貴族達からしたら予想外過ぎるでしょ。マスクは外してるけど、【闘技場】の屋台で購入した物を食べ歩きながら移動してるんだから。


「そんなのとは……【ベビーバクダン】の事か? あれは口の中が軽く弾けて新しい感覚だったぞ」


【ベビーバクダン】は見た目はベビーカステラなんだけど、それに導火線みたいなのが付いていて、マンが噛むと『ボフッ!!』と音がして、口の中から煙が出てたから。


「それもだけど……今食べてるリンゴ飴モドキもヤバいでしょ」


「あっぽう」


「ほら……マンがじるたびに悲鳴をあげるんだから、周りが見てくるのも仕方ないんだからね」


 リンゴ飴のリンゴの部分には目、口、鼻と空洞があって、顔みたいに見える。リンゴという事もあってか、口からアップルが変化して『あっぽう』と噛まれるたびに叫んでる。


「あんな連中は無視すればいい。それに【アップ飴】も存外悪くないぞ。声のように渋みのある味だ。リンゴ飴も憧れの一品だったからな。皆が食べてるのを羨望の目で見ていた事もある」


「……屋台の時のはしゃぐ姿を見ればね」


 リンゴ飴……じゃなくて【アップ飴】とか【ベビーバクダン】を選ぶ時なんて、子供みたいに喜んでたから。


「【食べ物図鑑】を埋めるのも楽しみの一つになってるぞ」


 マンは口周りを赤く染めて、満円の笑みを浮かべてる。


「それが出来るのはマンぐらいでしょ」


 と言っても、マンは【闘技場】にあった屋台や下層にあった古めかしい料理屋、中層の食べ物屋にも興味津々だったのに、上層にあるレストランには全く見向きもしないんだよね。


 マンの姿はあれだけど、現実では良いところの人間なのかも。だからって、今更態度を変えるつもりないけど。


「もう少しで城だから、口の周りの赤いのを取らないと。不審者で捕まるのはなしだからね」


 上層にある跳ね橋を抜けた先がヒューマ城だ。夜になっても引き上げられてないから、城までは行く事は出来るみたい。それでも、マンの今の姿だと不審者として追いかけされたり、捕まるかもしれないから。

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