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ゴリラでも、化け物でもないんだから!!


「ここが【ユニユニ】の世界……って、私はゴリラじゃないんだから!! 絶対わざとこんな場所を選んだでしょ」


 私が【ユニーク・ユニオン・オンライン】の世界に降り立ったのは木々が茂る森林の中。木々の独特な匂いも同じで、触れた感じもそう。現実とまるで大差がないのは凄いと思うんだけど……


「千城院さんのためにレアアイテムを取ろうとしたのに……【プロテイン】って、どうなの? 説明も載ってないし」


 斉藤さんの最後の質問で、私が選んだのは後者。レアアイテムをGET出来るかわりに、開始場所が街の外。しかも、ランダムとなってるから、もしかしたら、斉藤さんが森林を選んだのかもしれない。私をゴリラ扱いしようとしてたからね。


 それに【BOX】に入ってたレアアイテムも【プロテイン】。効果は???と表示されてるから、使わないと分からないのかも。【プロテイン】だから、何となく効果は予想出来るけど……


「まずは【アイン】って街に向かえばいいんだったかな。といっても、見渡す限り、木ばかりなんだけど……【MAP】で確認出来たりするのかな?」


【MENU】を呼び出して、【MAP】を選択。すると、ここら一帯の地図?が表示されたんだけど、名前が出てるのは二つ。【アイン】と【嘆きの森】。【嘆きの森】に小さな矢印がある場所が、私のいる位置だよね?


 他は???になってるし、名前がある場所には【TAP】という表示があるのは、教えて貰った場所とか、訪れた場所なのかも。


「ふむふむ……ここから北東に向かえば、【アイン】があるのか。一応、【アイン】に【TAP】してみようかな」


・【アイン】 冒険者(人)達が訪れる最初の街。ギルドで五つのクエストをこなし、D級冒険者を目指そう。(D給冒険者になる事で他国、別大陸に旅立つ事が可能になります)


「【アイン】に行くのは間違いないみたいね……【嘆きの森】も確認してみようかな。面倒だけど、何があるかも分からないし



・【嘆きの森】 薬草や茸等の資源が豊富。別名、初心者殺しの森。レアアイテムを稀に見掛けるのは……(PK可能区域)



「物騒な事が書かれてるんだけど……初心者殺しの森? PKなんて、サッカーなんて出来る場所じゃないと思うんだけど」


【嘆きの森】に関しては、見るだけ損した気持ちになる。【ユニユニ】はサッカーゲームじゃないんだから。


「PKの意味も知らない素人が来てくれるなんて、とんだ鴨だな。レアアイテムに目が眩むから、狙われる事になるんだよ」


 ガサガサと近くで音がすると思ったら、魔物モンスターじゃなくて、見た目が怪しい弓矢と棍棒を持った男二人組が現れたんだけど……プレイヤーだよね?


PプレイヤーKキラー。俺達は初心者を狙って、レアアイテムをGETしてるんだ。【嘆きの森】はそれが許されてるからな。殺されたくなかったら、レアアイテムを置いていけ」


 いきなり登場したと思ったら、殺されたくなければ、【プロテイン】を置いていけだって!? 思いっきり、悪党じゃないの!! 脅しのように弓矢を向けてくるしさ!!


「嫌に決まってるでしょ。何でアンタ達みたいな奴にあげないと駄目なわけ?」


 千城院さんに渡すために手に入れたレアアイテム。【プロテイン】だとしても、誰にも渡すつもりはないから」


「……えっ!? 初期装備が僧侶のアレだろ? 僧侶一人が俺達に勝てるとでも思ってるのか?」


 私が強気に出るとは思わなかったみたいで、二人組の方が驚いた顔をしてる。どっちみち、レアアイテムを奪われるなら、戦った方がいいでしょ。


「ほ、本気だぞ。痛みはちゃんとあるんだから、死んでから後悔すればいいさ」


 悪党は私に向けて、矢を放った。その矢をは一直線に飛んできて……腕で払い除けた。


「はっ!? ちょっと待って!! この距離で払い除けるって……しかも、武器とか盾もなしだぞ。僧侶がそんな事出来るわけが……」


「目と耳が良い方なんだよね。攻撃するタイミングが分かったし、似たような事を何度かやった事もあるから」


 その時は矢じゃなく、野球のボールだったりしたけど。反射神経を鍛える練習だったかな。こんなところで役に立つなんてね。【受け流し】の効果もあるのかもしれない。


「初心者がそんな事出来るわけがないだろ!! さっきのは偶然だ。棍棒で殴られて、死んでしまえ!!」


 もう片方の悪党が棍棒を振り上げながら、こっちに向かってくるんだけど、反撃されると思ってないのか、無防備過ぎるでしょ。


「げふっ!!」


「本当にダメージはあるんだ……残念だけど、ゲーム初心者でも、武道の方は経験者なのよね」


 棍棒の男は腹を抑えて、膝が崩れた。悪党が棍棒を振り下ろす前に、カウンターの前蹴りが鳩尾を刺した。自然と体が動いた感じ? 足の違和感が全然ないのを実感出来たかも。それに痛みがあるのも、棍棒君が教えてくれた。


「ば、化け物!!」


 棍棒野郎が一撃でダウンしたせいで、弓矢の方はすぐさま逃げ去っていくんだけど、酷い言い草じゃない!?


「誰が化け物よ!!」


「お、俺を置いて行かないでくれ……」


 棍棒男もヨレヨレの状態で、弓矢男が逃げた方へ足を進めていく。相手が逃げ出したとしても、アイテムやお金は落とさないみたい。倒さないと……って、流石に追い撃ちをするほど、私は悪党じゃないから。


「はぁ……一体何なのよ。さっさと【アイン】に向かった方がいいのかもしれないわね」

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