……しい
「お疲れ様でした。モニターによる映像は終了しましたので、レッド様は開いてる柵の奥へと進んでください。そこが出口となりますので、退去の方をお願いします」
結果は三試合止まり。ヒューイをパートナーにするのは一試合だけと最初は思ってたし、そこは問題ない事はないんだけど……
「アイツが冒険者達に何をしてたのかも分かったし、そこは受付嬢に伝えたら、対策とかして貰えるのかな」
けど、ヒューイは私とのパートナーを勝手に決めれるぐらいの権限があるみたいだから、そこはどうなるかは分からないところかな。
「暑っ……試合も終わった事だし、マスクを取ろう」
【赤レッドマスク】をすると、暑いし、息苦しいから。マンもよく平然としてられるもんだよ。
「ふぅ……私は柵の中へ行けばいいわけだけど、コイツはどうするんだろう? ピクピクしてるけど、動けそうにもないよね?」
ヒューイに近付いて、足先で顔をツンツンしてみる。NPCが自然回復出来るかも知らないし、死んだとしても復活するかも分からない。
「はぁ……迷惑な奴だけど、こんなところで死なれたら、後味が悪いし」
ヒューイが死んだ場合、私のせいにされたらたまったもんじゃない。だから、仕方なく【ヒール】を使う事にした。【ヒールLV2】になってるから、完全回復は無理でも、意識が戻るぐらいはいけるんじゃないの? 【マリオネット】が冒険者に効くのなら、【ヒール】もNPCに効果があるでしょ。
「うぅ……余は魔物の攻撃を受けて……お前は」
ヒューイの意識を取り戻す事には成功。【赤レッドマスク】を脱いだから、私がレッドだと思ってないのかも。
「仕方なしに回復はしてあげたけど、次からは冒険者に迷惑をかけないようにしなさいよ。そうしなかったら、私がアンタをぶっ飛ばしに行くから」
ヒューイを注意したぐらいのタイミングで、担架を持った【闘技場】の係員らしき人物がやってきた。その担架にヒューイを乗せ、私とは別の柵から出ていこうとする。
「ちゃんと治療して貰えるのなら安心だわ」
ヒューイは闘技者の中に含まれてなかったから、放置されるかもと思ったけど、流石にそれはなかったみたい。【ヒール】の無駄使いになったけど、それは仕方ないか。
「……しい」
係員に運ばれる際、ヒューイは小さな声で何かを言ったみたいだけど、最後の『……しい』という言葉しか聞こえなかった。多分だけど、失敗した事で『悔しい』と言ったかもしれないし、体の痛みに『苦しい』かもしれない。もしくは、あんな大見得を切って、無様に負けた事に対して、『恥ずかしい』と言ったのかも。
「一番可能性があるとすれば、『悔しい』かな」
思った通りにいかなくて、『悔しい』というのが一番しっくりくる。他に『……しい』の言葉は思いつかないし。
「ヒューイも運ばれた事だし、マン達がいる場所に戻ろうかな」
次はヒューイがパートナーになる事はないだろうし、もう一度受付をし直して、残りの三勝をさっさと終わらせないと。