パートナー戦
「凄っ……ドームが幾つも繋がってる感じなんだね」
「クラスが会場別になってるからな。最初は正面の【ブロンズ級】のドームから始める事になるぞ」
【闘技場】見ると、ドーム型の会場が幾つも繋がってる。マンが言った通り、ドームはクラス別を示すように銅、銀、金と塗装されてるのが目印になってるみたい。
「なるほどね。【ブロンズ級】は私もさっさと終わらせて、紅が失敗した【シルバー級】を試さないと……って、結構息苦しいかも」
私は意気揚々に正面にある【ブロンズ級】のドームに入る。【赤レッドマスク】はすでに装備中。隠れた場所で着けて、正体がバレないようにしておいた。【赤の修道服】でバレたら、そこまでの話なんだけど……
「それもまたよし!!」
マンは【ゴブリンマスク】から【桃ピンクマスク】に変えたけど、違和感しかないから。
ちなみに【赤レッドマスク】や【ゴブリンマスク】に追加効果はなし。逆に息苦しくなるだけ、デメリット。
【赤レッドマスク】 ヒーローになった気分になれるかも……
と説明があったけど、全然そんな状態にはなれないからね。
紅は私達から少し距離を外してる。仲間と思われたくないのかも……気持ちは分からなくもないし。
「はいはい……【闘技場】の中はこんな風になってるわけね」
【闘技場】の中に入って、すぐ目の前には巨大スクリーン。ワイバーンと剣士が一騎討ちをしてて、一番注目の試合を映してるのかもしれない。
他にも小さなTVみたいなのが何台も並んでいて、各自の試合映像を流していて、人達が群がってる状態。
受付も試合に参加用、賭け事用、支払い用も三つあり、何人もの受付嬢が待機してる。賭けにはNPCもしてるみたいだから、人手が必要なのかも。
「それじゃ、参加の受付をしてくるから」
参加用の受付は三つあり、そこの一つを選ぶ。
「って!! 何でついて来るのよ。それぐらいは一人で出来るから」
何故かマンも一緒について来るんだけど……もしかして、今後のお楽しみに関係あるわけ?
「ようこそ!! 【フォース闘技場】へ。今回が初参加でしたら、冒険者のギルドカードの提示をお願いします。その時に【魔物図鑑】の中も確認しますので、お許しくださいね」
受付嬢は笑顔で説明してくる。ギルドカードで【職業】や【スキル】、【アーツ】を確認するのと、【魔物図鑑】である程度の強さを予想するのかも。
「分かりました……どうぞ」
「受け取りました……カズハ様。職業は【僧侶】、D級の冒険者ですね。横にいる方は……マン様ですよね? マン様が参加出来るのは今のところないはずですが……」
マンの覆面が【ゴブリンマスク】と違っても、正体が分かるのは流石……じゃなくて、マンが隣にいる事に受付嬢は困惑してるんだけど……
「彼女の力になるつもりなのだが……」
「【闘技場】は冒険者一人が参加するもので、一緒に参加する事はないのですが……」
受付嬢に言われなくても、マンもそこは分かってたはずよね?
「ああっ!! そういう事ですか。カズハ様が僧侶だから……」
「……えっ、何!? そういえば、紅も職業で戦闘形式が変わるみたいな事を言ってたような……」
「ですね。【支援職】や【生産職】の冒険者が参加する場合、少し違ってるんです。冒険者が一人なのは間違ってないのですが……私達が用意した戦士や傭兵を選んで貰って、一緒に戦ってもらうんです」
「……私一人で戦うんじゃないの!? 一人で全然構わないんだけど!!」
【闘技場】が用意した戦士や傭兵はプレイヤーじゃなくて、NPCよね。そのNPCと一緒に挑むなんて……マンもその戦闘をモニターで見て、勘違いしたのも仕方がないかも。マンはショックで一時停止してるのは置いといて……
「そこは決まっているので、変更は出来ないんです。【支援職】と【生産職】の冒険者には好評なのですが……」
【前衛職】や【後衛職】と違って、【支援職】と【生産職】は戦闘が苦手な冒険者のための配慮なのかもしれないけどさ。
こうなったら、パートナーになるNPCを先に倒して、私一人で挑戦するのは……
「パートナーが戦闘不能になった時も敗北になるので、難しい面もあるのですけどね。そこは僧侶の回復で助けてあげてください」
私の顔に出てたのか、心を読んだみたいに注意されたんだけど!! パートナーが戦闘不能になるのも駄目とか、最悪でしょ……




