五色戦隊
「はぁ……どんな格好してるのよ。一瞬誰なのか分からなかったでしょ」
私と紅はマンがいる立ってる場所まで行くんだけど、【アイン】のギルドの時みたいに周囲の視線が……マンの姿は普通に目立つんだけど、【闘技場】での活躍もあるのかもしれない。奇異的なのじゃなく、憧れみたいなのは……流石にないかな?
「そうだろう? 謎のマスクマン!! この【ゴブリンマスク】も精巧に出来ているからな。体に緑のペイントをするのもありなのでは? と思ったぐらいだぞ」
「それは……止めて正解だわ。下手したら、大騒ぎになってるから」
観客、街の人達も謎のマスクマンというより、謎のゴブリンと思ってるだろうから。体をゴブリンの色にしようものなら、本物のゴブリン扱いされてそうだし……
「カズハだけじゃなく、紅も参加するのか? なら、二人共、この中から好きなマスクを選んでいいぞ。リングには覆面がよく似合うから」
マンは【BOX】の中から色んなマスクを取り出した。全部で十個以上はある。それも【任侠戦士 仮面ヤクザ】とか【帰ってきたワラットルヤン】、【格闘少女 バトルプリンセス】なんかの特撮系があったり、シンプルにフランケンとか狼男のマスクがあったりと様々。
「どれだけ買ってるのよ。マスク一着、2000Gはしてるんだけど……そんなお金は何処から……」
「【闘技場】での賞金だぞ。勝ち続けた結果、100000Gが貰えたからな」
「十万!? 最初の参加料が100Gだとしたら……」
凄い儲けになってる。お金が目的じゃないとしても、そんなに貰えたら嬉しいからね。
「それで……どれを選ぶんだ?」
マンはマスクを被るのは当然とばかりに、私達にマスクを選ばせようとしてくるんだけど……
「うっ……悪いんだけど、【闘技場】に参加して、負けたばかりだから。もう少し強くなってから再戦するつもり。マスクはカズハが付けてくれるはずだから」
「ちょっと!!」
紅は私を犠牲にして、上手く逃げる事に成功した。マンに頼まれると、何故か断りにくい気持ちになるんだよね。それは紅も一緒なのかも……
「はぁ……今回だけだからね!! 次は絶対にやらないから」
マンはマスクを私のために買ったかもしれないし、私も断ったら、落ち込む気もする。【ユニユニ】の中だから、一回ぐらいは我慢すればいいだけだし。
「それで十分だ。私もそれに合わせたマスクを装着しよう」
「合わせる? 一緒に出場するわけでもないんだから、別に合わせなくてもいいんじゃないの?」
【闘技場】はソロで参加するはずだから、タッグ戦にはならないでしょ。応援するためでも、ペアマスクみたいにしたら、バカップルと間違えられても……
「ふっふっふっ……それは今後のお楽しみだ」
「今後のお楽しみって……嫌な予感しかしないから」
そういうのは兄さんのサプライズだから。思い出せないで欲しいんだけど……
「……なんとなく予想出来るわ」
紅も何か察したみたいなんだけど、【闘技場】に入れば分かる事なの!?
「一体何なの? ……一応、覆面は【五色戦隊】の赤レッドにしておくけど」
兄さんが見てた戦隊ヒーロー。赤レッド、ブラッ黒、黃イエロー、青ブルー、桃ピンクと、「名前を重ねただけだ!!」とツッコんでたのを思い出した。しかも、ブラッ黒だけ言い方が違うというね……
「なら、私は桃ピンクだな」
「桃ピンク!? ブラッ黒か黃イエローでしょ!!」
ブラッ黒は筋肉好きで、黃イエローは大食い。どっちもマンに当てはまるけど、敢えて女性キャラを選ばなくてもいいでしょ。




