ゴブリンマスク登場
「それにしても【闘技場】に参加するのは楽しみだな。紅が負けた相手もいるんだよね? 外の戦闘は……」
前回の戦闘は【大カラス】や【大ミミズ】とか、欲求不満になる魔物ばかりだったし、ストレス解消しないと。
「それは分かる。気持ち悪い魔物がいるし、物を盗む奴がいたりね。【闘技場】は色んな試合……というか、カズハの職業は【僧侶】なんだよね? 私やマンとは違った形になるのか……」
紅は私の言葉にウンウンと頷きながら、不吉な事を言ってきたんだけど……
「えっ!? 【闘技場】の試合は魔物相手に一対一の戦いじゃないの?」
「魔物が一匹じゃない時もあるけど、プレイヤーがソロで参加するのは間違ってないわね」
多対一は【大カラス】の戦闘でもあったし、そこは問題ないし、ソロで参加するのなら、違った事はないと思うんだけど?
「カズハは【闘技場】初参戦だし、軽く説明しといてあげる。まずは……」
紅は【闘技場】の説明を始めたんだけど、【闘技場】の受付が言う事なんじゃ……
兎も角、紅が言った説明をまとめてみると……
【闘技場】にもランクがあって、【ブロンズ】【シルバー】【ゴールド】【プラチナ】【ダイアモンド】の五つある。【ゴールド】からは3〜1と更に組分けされてるらしいく、C級に昇級するための【闘技場】での五勝は【ブロンズ】から【シルバー】に上がるためでもあるみたい。
【シルバー】から【ゴールド】になるためには【シルバー】のランクで十勝。しかも、最後の三勝は連戦じゃないと駄目なようで、そこで紅は躓いたみたい。
それと【ゴールド1】に挑戦するためには、B級以上の資格が必要。【ゴールド2】まではE〜C級のどのクラスでも参加可能らしいけど、その段階で辿り着いたのは今までいなかったみたい。
「待って!? 今までって事は……」
「そのまさかよ。マンが連勝記録を更新して、一度も負けなしで【ゴールド2】に行ったんだから」
「まぁ……マンだからね」
マンだから……ってだけで納得してる私がいる。B級以上という制限が無ければ、【ゴールド1】もクリアしてるんじゃないの?
「でも、それぐらいの実力がなければ、千城院さんと一緒のパーティーになるのは難しそうだからね。頑張るしかないわけよ」
【ナイトメア】戦で実力不足を痛感した。マンぐらいの強さがないと、千城院さんと並び立つのも無理って事。
「分かってるわよ。凹んだのも一瞬だけだから。筋肉……マンはパ……ブラックのライバルでもあるんだし、強くて当然だし。オッサン達には負けられないから」
ブラックは紅の父親でランカー。オッサンといえば、間違いじゃないと思うけど……マンがオッサンかと言われたら……どうなんだろう? 姿はオッサン寄り? 筋肉のせいで若く見えるような……
「おおっ!! やっと来たな。紅も一緒みたいだな。【闘技場】は楽しかったぞ。カズハも早速参加してみるといい」
マンは私と紅の姿を見つけたようで、声が聞こえてくる……んだけど、マンの姿が見当たらない。マンの見た目からして、見つからないわけがないはずなんだけど……
「ん……ゴブリンがいるじゃないか!! ……って、まさか……」
【闘技場】前にホブゴブリンよりも強そうなゴブリンが待ち構えていた。【ゴブリンパンツ】を履いたマッスルなゴブリン……というのも、ゴブリンの顔をしてたからなんだけど、近くにお面とマスクが売ってる屋台があったという事は……
「あれがマンなのよ。【闘技場】もゴブリンのマスクを被ったふざけた姿で参加してたからね。【闘技場】の中だけの名前もあって、ゴブリンマスクと名乗ってたし」
「ああ……前に覆面がどうたらこうたら言ってた気がする。本当にあの姿で参加したとか……悪役レスラーのつもりだったのかな? それでもヤバいんだけど」
マンがゴブリンのマスクを選んだのも、【フォース】の門番に間違えられたのと、【ゴブリンパンツ】があったからなんだろうね。
けど、それ以上に【ゴブリンマスク】を装備したら弱体するはずなのに、その状態で【ゴールド2】をクリアするとか凄すぎでしょ!!
周囲の人達が怖がってないのも、【闘技場】での活躍を知ってるからかもしれない。




