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ぬいぐるみの使い道


「うわ〜……出店もこんなにあるとか、お祭り騒ぎでしょ。冒険者も露店で店を出してるし」


【ユニユニ】にログインしてみると、【アイン】の街にある噴水前じゃなくて、【フォース】の街に入ってすぐの門前から始まった。【ログイン】時は最後に訪れた街からになってるから。例外があるとすれば、【サバイバル】のスキルや【ベッド】のアイテムを使用時ね。


【ログイン】したら、すぐにマンから【メール】が届いた。【闘技場】前にいるらしくて、今はそこに向かってる最中。


【闘技場】は城下町とで区画が分かれてるみたいで、案内の看板が目の前にあった。賑わいの声が聴こえてくるのは【闘技場】の方で、冒険者だけじゃなく、NPCもそっちに足を運んでるから。



「たこ焼き、焼きそば、リンゴ飴もある。グロ系は……見なかった事にして、マンが一度も食べた事がないとか言ってそうだわ。冒険者が他の屋台より物を安く売ってるのは頭が良いかも。結構な値段するもんね」


 私が【ログイン】する間に、マンは全屋台をハシゴしてもおかしくない気がしてきた。クレープも我慢出来ず、走り去って行くぐらいだったから。


 職業【商人】の屋台は【フレンド】やパーティーの中に生産職がいて、それを元手に売ってるのかも。これもコラボ化とか、現実の商品化の一歩になるわけだし。


「あっ……」

「あっ……」


 屋台で買い物をしてる紅と目が合った。【フレンド】で【ログイン】してるのは知ってたけど、同じ場所にいるなんて……


「こ、これは違うから!! 可愛いからじゃなくて、即死魔法の身代わりになってくれるアイテムなだけなんだから」


 紅が買ったのは大きな熊のクマのぬいぐるみ。それを抱きしめながら否定されても……


「……似合ってないとか言わないけど、即死の身代わりは可哀想というか」


「そんな事するはず……可愛いから買ったのよ!! 少し慰めて欲しかったの!!」


「そこまで言う事はないから。紅はここで何を……って、分かりきった質問だったわ」


 私と紅がいるのは【闘技場】前の屋台。紅は【闘技場】に参加するため……その戦闘も終わった後なんだと思う。


「そうよ。B級に上がる時も【闘技場】で【ゴールド3】クラスで勝利しないと駄目なんだけど、失敗したわけ」


「なるほどね。【闘技場】の試合で負けたから、いつもみたいに『勝負よ!!』と駆け寄ってきたりしなかったんだ」


 紅のいつもと感じが違ったのはぬいぐるみの事もあるけど、【闘技場】の試合に負けたからでもあるわけね。


「そんな馬鹿みたいに何度も言わないわよ。……確かに負けた事は凹んだけど、それだけじゃないから。レベルの違いというか……アンタの相方のせいよ」


 相方……というのはマンの事? マンが何かをやらかした……というより、無双した感じなのかも。その気持ちは分からなくもないし……


「マンは先に【闘技場】で試合をしたわけね。待ち合わせをしてるから、その話を聞かされるかも。それじゃ……」


 マンを待たせてるわけだし、ここで紅とはお別れ……


「って、なんで付いてくるのよ!! 勝負はしないはずだよね?」


 どういうわけか、紅も一緒について来るんだけど!! 


「ここに来たという事はカズハも【闘技場】に参加するのよね? 今後のため、その試合を見させてもらうから」


 紅は私との再戦のために、試合を見学するつもりみたい。


「それなら仕方ないかな。試合を見るのも勉強になるのは確かだし……私が紅だった場合もそうする」


 間違った事じゃないからね。私も【闘技場】に参加するだけじゃなく、マンの試合を見たかったから。

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