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クレープには抗えない

「おおっ!! 凄いわね。城壁なんて初めて見たわ。そういうのがきちんとあるもんなんだ」


【フォース】の門前に到着。【アイン】の時みたいに門番はいるけど、城下町ともあって、周囲を囲む城壁が凄い。門もそこまで大きくしなくても良いんじゃないのと思うぐらいだし。


「私も遠くから見るぐらいしか出来なかったからな。城があるのは分かったが、それに近い大きさの建物は【闘技場】だったわけだ」


 マンは【アイン】同様、【フォース】の街に入れなかったみたい。城下町なんだから、【アイン】以上に警備は厳しいはず。全裸の状態で入るのは到底無理だったんだろうけど……


「今回は【フォース】の街には入れるでしょ。マンも冒険者になったわけだし。堂々と入れば大丈夫なはず」


 城はともかく、【フォース】の街は大丈夫でしょ。パンツ一丁の姿でも、一応は冒険者なんだから。


「そこの冒険者、貴女を通すわけにはいきません」


 そう思ったのに、門番のオッサン二人の槍が交差して、先に進ませないようにしてる。それに……門番はマンじゃなくて、私を見てるんだけど!!


「……私!? えっ? 何が悪いところがある?」


『マンじゃないの!?』と言いそうだったけど、そこは何とか止める事は出来た。


「貴女の職業は【魔物使い】ですよね? 【ゴブリン】を使役するとは珍しい。ですが、街に魔物を入れるわけにもいかないのです。【闘技場】に渡すとしても、魔物は戻してください」


「……ゴブリン?」


「カズハは【魔物使い】に転職したのか!? 使役したゴブリンを私も見てみたいのだが」


「うおっ!! ゴブリンが人の言葉を話してるぞ。人の言葉を理解する上位のゴブリンなのか!!」


 門番はマンが人の言葉を話した事に驚いて、槍を向けた。


「ぶっ!! ……彼はゴブリンじゃなくて、冒険者だから。マンもギルドカードを出しなよ」


 マンはゴブリンと間違うなんて、思わず吹き出しそうになったじゃない!! 【ゴブリンパンツ】を履いてるから勘違いされたのかも。似てるのはパン一のところだけなんだけどね。


「そういう事なのか? 間違いは誰にでもある事だからな」


 マンはゴブリンと勘違いされた事に一切怒らず、門番達にギルドカードを見せた。


「も、申し訳ありません!! 冒険者なんて思わず……どうぞ、お通りください。貴女にも迷惑をおかけしました」


 門番達はすぐにマンへ向けてた槍を戻し、私とマンに頭を下げた。


「いや……こんな姿をしてるから、勘違いしても仕方ないから」


 職業【漢】だからといって、街に入る時は、マンも少し装備を増やしていいのかも。


「ありがとうございます。近頃、怪しい魔物が近辺に出没するらしいので、警戒してまして……お詫びにこれを……」


 門番が渡してきたのはクレープ屋の無料券二枚。お詫びの品をよく貰う気がするんだけど、オッサンがクレープ屋なんて……


「うおおっ!! クレープだと!? それも一度食べてみたかった物だ」


 マンはクレープ無料券に喜び、打ち震えてるんだけど……甘い物も好きなのかも。【闘技場】やヒューマ城に行くよりも、クレープ屋に駆け込みそうな雰囲気だから。


「ちょっと待った!! 先に言っておくけど、明日はバイトがあって、私はここで一旦【ログアウト】するから」


 現実の時間だと深夜の二時を過ぎてた。流石に寝ておかないと、バイトに遅刻してしまうから。


「マンはクレープを食べに行ってもいいし、先に【闘技場】に参加してもいいからね。けど、城に向かう時は一緒の方がいいかな」


 何をするにしても、マンの自由なんだけど、城に向かった場合、追い返される可能性があるからね。


「カズハが【ログアウト】するなら、私も……駄目だ!! クレープの魔力に抗えない!!」


 マンは必死に我慢の顔をしたけど、最後には欲望に負けてしまったみたい。


「すまないが、クレープを一緒に食べる事は出来そうにない」


 マンはクレープ屋を探しに【フォース】の街の中へ走っていく。ただ……私の分のクレープ無料券も持っていてしまったのはちょっと……絶対に使ってしまうでしょ!!

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