満を持しての登場!!
「くっ……攻撃手段が増えるだけじゃなく、対策されていく感じね。少しばかり甘く見てたかも。コラボ装備をしてきたのも悪かったけど」
蒼石の攻撃が花の盾の耐久力を破り、巨大化した花は粉々に散ってしまった。そして、千城院さんの防御の一角が崩れて、そこが弱点とばかりに蒼い石が通り抜けていく。
あの攻撃の威力はホブゴブリンの一撃以上。盾が壊された事で、回避する余裕はなく、無防備な状態でまともに受けてしまい、千城院さんでも後方に飛ばされた。
「っ!! 鎧の方もイカれたわね」
花の盾に続いて、薔薇の鎧も蒼石が直撃した箇所が壊れてる。黒狼の追撃として、影から針が伸びるんだけど、蔦の長さが短くなってて、回避もギリギリだったし。
「少しのダメージでも致命的になるのに……えっ!? これって……貴女は」
【ヒール】が使えるようになったから、私じゃなく、千城院さんを回復する。私が回復するより、絶対良いに決まってる。けど、それが余計な行動だったかもしれない。
私が【ヒール】をした事で、千城院さんは黒狼から視線を外し、私の方を見てしまったから。それを黒狼が見逃すわけがないわけで……
「私が……相手だ!!」
黒狼に私を標的にさせるため、立ち上がれないまでも、声を振り絞り、叫んだ。最初に狙われたのは私。仕留めに来てもおかしくないはず。
私のせいで、千城院さんを死なせるわけにもいかないし、目の前で死ぬ姿も見たくもないから!!
「何を言ってるの!? そんな状態で」
「がはっ!!」
黒狼は私に狙いを変えて、無数の影の針で私の体を貫いていく。そこまで来ると痛みはなく、足元から消えていくのは、私が死ぬ証拠だろう。
更に黒狼は確実にトドメを刺すべく、蒼石一つを私の方へ飛ばしてくる。その間に千城院さんは私に見切りをつけて、態勢を整えてくれた。それだけで満足だったけど……
「すまない……遅くなった」
「……私の代わりに、彼女を助けてくれる?」
蒼石が私に届く事はなかった。それは直前でマンが蒼石を手で受け止めたからだ。私を助けるのに間に合わなかったけど、マンの強さなら、千城院さんの助けになる。
「了解した!!」
私は千城院さんを助けるのをマンに託し、体は完全に消失した。
けど、魂はまだ【蛍の森】、黒狼の戦闘の場にいるみたい。【ユニユニ】で死んだ場合、どうなるわけ?
よく見ると、私が消失した場所に【蘇生可能時間、残り60秒】と表示されてる。これは【蘇生魔法】やアイテムによる復活が可能なんだろう。
私側の方にも【街に戻るまで60秒】と違った風に表示が追加されてる。死んだ場合、再度【ログイン】した形になるのかもしれない。
「千城院さんやマンの声は聴こえないけど、一分だけなら二人の黒狼戦を見る事が出来るんだ」
マンが蘇生するアイテムを持ってるとも思えないし、二人には黒狼戦に集中して欲しい。




