対ウロボロス戦
【ウロボロス】は宙に浮きながら、尻尾部分で地面を叩いてくる。大振りな分、それは避けれるんだけど、砂煙が広がるから視界が塞がるし、石礫よる拡散攻撃も。
そこから体全体を使っての横薙ぎ。ジャンプのタイミングを間違えれば、地上まで落下しかねない。高く飛び過ぎても、的になるのも注意が必要かも。
タクシーも経験したのか、そこはパーブルーダの子供を抱えた状態で砂煙よりよ高くジャンプしてる。
【ウロボロス】の大きさもあるし、空中にいる分、砂煙があっても行動が分かる。リザードマンや他の魔物が巣に着いた場合がヤバくなると思ったけど……
「アレって、絶対に毒でしょ!!」
問題なのはペッペッペッと紫の唾……液体を飛ばしてくる事。地面についた時、溶けるような音とかはしないけど、明らかに汚い……というか、地面に残ったまま消えないでいるのは、おかしいから。
「移動出来る場所を減らすつもりなわけ!? こっちは攻撃のタイミングが全然掴めないのに」
私やタクシーを呑み込みに全然降りて来ないから。危険でもジャンプしての攻撃をするしかないんじゃないの!!
「ちょっと!! そこに尻尾を叩き込んだら」
【ウロボロス】の尻尾攻撃は私達を押し潰すためじゃなく、砂煙を焚くためと思ってたけど、本命はこっちのなのかも。
毒が溜まった場所に尻尾を叩き込む事で、毒液が霧散して、砂煙と混ざり合い、一面が毒霧状態になり、視界が悪いだけじゃなくなってしまう。
長時間じゃなくても、繰り返しされたら、私の体に毒が確実に回ってくる。
「【アンチドーク】で回復しても、同じ事の繰り返しになったら……」
毒を回復させる【アンチドーク】は覚えてるけど、同じ毒にもう一度かからないという保証はないから。
今も体の動きが少しずつ鈍くなってるのが分かるし、このまま続けても悪くなる一方。無理を承知でジャンプして攻撃をするしか……
「って!! 毒に耐性がそこまでないの!? ……そうじゃない。子供達にいかないようにしてるから」
私は肌の色が変色してないけど、タクシーの全身が紫色になってる。それも子供達を毒から守るために、周囲の毒霧を吸い込んでるから。
「……もう!!」
タクシーが倒れるとパーブルーダの子供達も毒にやられるか、【ウロボロス】に呑み込まれてしまう。
だったら、私自身よりも先にタクシーを【アンチドーク】で回復するべきでしょ。私の毒は三太が来るまで耐えるか、硬直時間が解けるのが先か。
私はタクシーの側によって、【アンチドーク】を使う。動きながらの詠唱は、毒の回りを速くする。
「ハァ……ハァ……【アンチドーク】が使えるようになるまでに、【ヒール】で少しでも回復を」
別の【スキル】なら先に使えるから。流石に【ヒール】はタクシーじゃなくて、私自身にかけないと、【ウロボロス】を誰が……
「同じ攻撃方法なのは分かってたのに……こうなったら」
尻尾叩きの後、横薙ぎの攻撃。さっきも同じ攻撃方法。だけど、タクシーは子供を抱いた状態で飛ぶまで回復してない。
私はタクシーの体を無理矢理、上空に蹴り上げた。その代わり、私が【ウロボロス】の横薙ぎを直撃を受ける事に……




