予想外の出来事
「場合によっては、タクシーと戦う事になる。そこは先に言っておく。下手したら……倒す事にもなりかねないから。そうならないためにも、アンタも早く来なさいよ」
「わ、分かってる!! 出来る限りでいいから、時間を稼いで欲しい。僕が説得するから」
私は三太を置いて、パーブルーダの巣へ急ぐ事にした。三太には申し訳ないけど、タクシーがパーブルーダの子供達を襲ってた場合、戦っても止めさせてもらう。下手したら、タクシーを倒してしまう事もあるかも。その時に三太の回復が間に合えば……
「善処はする!!」
三太にそう言い残して、登るスピードを上げる。その先にはリザードマン達が登っていく姿もあるけど、頭を飛び石みたいにして、通り過ぎる事を選ぶ。ここで戦闘してる時間もないから。
リザードマンは激怒して、私の後を追いかけてくるけど、それは三太が安全に進めるから良しとしよう。一緒に連れて行くとしても、リザードマンぐらいなら……タクシーがそっちに目が行けばいいわけだし。
なんせ、タクシーの色違いの魔物はリザードマンを呑み込んでたから。食べるなら、そっちの方にして欲しい。
「……嘘……それは予想外過ぎるんだけど」
パーブルーダの巣に到着。巣と言っても、広い岩場があるだけ。人の赤ん坊ぐらいの雛鳥が三羽。アレが多分パーブルーダの子供だと思うんだけど、無事を確認。
その子供達が無事なのは守りが強固だったから。その守りというのが、タクシー。
子供達を前にして、傷だらけの姿で攻め寄る魔物達から守ってる。
「もしかして、私達の目的を理解してたわけ?」
私達の言葉を理解して、【ログアウト】している間、子供達を守り続けてた? パーブルーダも餌じゃなくて、守りとして連れて来た感じなの!?
「クワー!!」
タクシーもボロボロの姿ながらも、私と視線が合うなり、叫びながらも上を向く。
「上……アンタ達が叫んでたのも、コイツが原因なわけね」
上空にいたのは翼を生やした蛇。パーブルーダの半分にも満たない大きさだけど、タクシーを呑み込める程のデカさはある。
タクシーが攻撃しようにも届かないし、子供達が無防備になる。抱えて逃げるしか方法がなかったんだと思う。
「三太がもう少しで来るから、回復して貰えばいいよ。ここは私がやるから」
空飛ぶ蛇といえば……【ウロボロス】? 私は【ウロボロス】相手に向き合った。
空飛ぶ魔物が相手なら、四壱がいた方が助かった……と思っても今更だ。
「そう言った手前、どう相手するかが問題なんだけど……」
【ウロボロス】に攻撃を届かすためにはジャンプするしかないんだけど、それは【ウロボロス】にそのまま呑み込まれてもおかしくない状態になるわけで……
「あっちが私達を攻撃するのに降下した時にカウンターを狙うしかないか」
尻尾の攻撃もあるかもしれないけど、私やタクシー、パーブルーダの子供を呑み込ため、地面に這い寄るはず……
「……って、ちょっと待って。そんな事するとか聞いてないから」




