三太のやる気スイッチ
「すぐに返信が来た。マンと四壱はBOSS捜索をして、紅がこっちに来るみたい。言っておくけど、紅が来るのを待たず、先に行くからね」
リザードマンやエリマキが出現してる以上、待機してるだけ、時間の無駄。パーブルーダの子供の危険が増えるだけ。タクシーに関しては……仲間と間違うかもしれないだけ、安全かも?
「姐さんは僕の事を心配して……こっちを優先してくれたんだ。僕のパートナーになってくれたわけだから。元気が出てきたぞ」
紅がこっちに来る事でやる気を出してくれたのは良いんだけど、別に三太を心配したわけじゃないから。
一番の理由は勿論、千城院さんに【月の石】を届けるのを失敗させないため。二番目は武藤さんに頼まれた写真を撮らないと駄目だから。
これは四壱がカメラを受け取ったんだけど、紅が代わりに撮る事に。私と三太はモデルなわけで、三太の格好良い場面もそうだけど、身近でパーブルーダを撮るチャンスでもあるから。
「うおおお!!」
「気合を入れるのは良いけど、大声を出したら、敵に場所を教えてるようなもんだからね」
魔物達にとってもパーブルーダの子供の争奪戦になってる。それに私と三太も含まれる事になるから。
十分後……
「ダレるのが早いから!! 紅が来るからっての頑張りが消えるのがすぐなんだけど……ここで追いつかれたら……冷たい目で見られる……」
それはそれで、三太が喜ぶような時もあったけど……わざとじゃないよね?
「山を下る時はタクシーに乗って、滑っていく形だったけど、登るとなると……足がぷるぷるとし始めて」
パーブルーダの巣は島にある山の天辺近くらしく、そこまで登っていく必要があるみたい。ちゃんと山道があったから良かったけど、クライミングが必要だった場合はヤバかったと思う。
「はぁ……さっきは格好良い場面もあったのに……そこは【木のステッキ】を杖代わりにするしかないでしょ」
「あれは僕も上手く攻撃が決まったと思ったけど、美味しいところは持っていかれた感はあったから」
エリマキの魔物を無視して進むと、次に出現したのはエリマキの倍以上の大きさがある亀の魔物。その亀が山の入口を塞いでいた。というより、亀の進むのが遅すぎただけなんだけど……
その亀を三太の【パワー】と【ヘビーメイス】で甲羅にヒビを入れる事に成功して、そこに私が瓦割りみたいに甲羅を破壊。そのヒビがなかったら、一度では割る事は無理だったかな。
「はいはい……折角褒めてるのに。それにしても……蜥蜴の魔物ばかりだったけど、亀まで出現したとなると、次は巨大蛇あたり? もしくは恐竜とか?」
出現するのは爬虫類ばかりだし、蛇が登場してもおかしくないわけだし。BOSS辺りは恐竜の可能性もあったりして……
「蛇は気持ち悪いから……この感じだと絶対大きいのが出てきそうだし」
三太はしかめっ面をしてる。私も攻撃が当てにくそうで嫌だから。
「ピー!!……ピー!!……ピー!!」
「……何か鳴き声が聴こえてくるんだけど……もしかして」
「クワー!! クワクワ!!」
「この鳴き声はタクシーだ!! 何かと戦ってる?」
タクシーの鳴き声と共に別の魔物の鳴き声がか細く聴こえてきた。か細い鳴き声はパーブルーダの子供? 巣に近付いてるから、ここまで聴こえてきたのかも。
それにタクシーもパーブルーダの巣にいて、生き残ってるみたい。……という事は、戦ってるのはタクシーとパーブルーダの子供?




