お約束の行動?
「ゴミ拾い!? 何で【ユニユニ】の中でボランティアみたいな事をしないと駄目なわけ? しかも、三時間も掛かるとかありえ」
「気に入った!! 普段は出来ない事だからな。勝負しながら出来るのも、また一興。それに決めたぞ」
「……好きにしてよ。勝負すると言ったのは私の方だから、文句言える資格ないわ」
紅が断る雰囲気だったのに、その言葉をマンが上書きするように勝負方法を決めてしまったせいで、諦めたみたい。まぁ……公平な勝負にはなりそうなわけだしね。
「はぁ……仕方ないか。でも、一緒のクエストを受けるんだったら、紅とパーティーを組む事になるわけ?」
そこは空気を読まず、拒否する事はないけど、受付嬢は嫌がってたはずだよね?
「それは組まなくても大丈夫ですよ。もう少し詳しく説明しますね。今回の【ゴミ拾い】等のランク関係なしに受託出来るクエストはパーティーを組まず、ソロで参加になってます。というのも、何人でもクエストに参加出来るからです。他のクエスト……C級のクエストになると、引き受けるパーティー数に制限があったりするので」
「そういえば、今まで別のパーティーが一緒のクエストになる事はなかったわね。それはD級だったから?」
「そうですね。D級になれば、他の国に移動する事は可能ですが、冒険者として本格的に始動するのはC級からという感じです」
「という事は、【ゴミ拾い】も大型クエストと似た感じなの? 救援なしで戦闘に参加出来たりするんだよね?」
「ですね。魔物が現れた場合、カズハ様だけじゃなく、クエストに参加してる全員が参戦可能です。手に入れた素材も全員に行き渡りますよ。けど、そこまで危険な場所ではないので、安心してください」
「魔物の出現するんだ……魔物を倒した数もポイントアップ……にするのはなしだから」
紅は相手が私だけなら、魔物撃破数もポイントに入れるつもりで言おうとしたんだけど、マンの事を思い出して、なしの方向にしたんだろうね。
「魔物の素材が一番良い時もありますけど、本来の目的はゴミ拾いですから、最低でも十個は拾わないと減点にします」
「三時間で十個なら簡単でしょ。良い物を探すなら、話は別かもしれないけど」
私としてはアイテムや素材の種類が増えるだけで十分なんだけど、紅に勝ち誇られるのも癪な気がする。良いアイテムを手に入れたいところよ。
「ギルドへ報告に来てもいいのが三時間であって、延長する事も可能ですよ。一日の終了と共に【ゴミ拾い】の場所は変わるので、その時点でクエストは強制終了しますから」
【ユニユニ】の時間だと、一日が終わるのは六時間後。それだけの時間を費やす事は無理でしょ。そんな事をする冒険者は流石にいないでしょ。
「今の段階で……別の街でですが、【ゴミ拾い】のクエストを引き受けてる冒険者が一人いますね。その冒険者は四時間は過ぎてるみたいですが……どれだけするのかはカズハ様達に任せます」
「任せるって……三時間以上する冒険者がいる事に驚きなんだけど……勿論、三時間でしょ。時間を伸ばすのも勿体ないし、三時間でも長い方なんだから」
「そこは賛成するわ」
「問題ない」
紅とマンも賛成してくれた事で、【ゴミ拾い】の時間は三時間。そもそも、【蛍の森】は【ハイソン】の近くにあるなら、そこまで行くのに時間が掛かるんだから。マンが【アイン】まで走ってこれたのがおかしいぐらいだし……
「分かりました。それでは御三方がクエストを受託したのを確認しました。マン様、カズハ様、紅様にはクエストに必要なアイテムを渡しますね。ゴミ拾い専用のアイテムBOXと行き帰りの【転移の翼】を二つ。【転移の翼】は指定した場所へ一瞬で飛んで行く事が可能で、転移場所に【ハイソン】と【アイン】を書き込んでますから」
受付嬢は私達それぞれに【転移の翼】を二枚渡してくれた。見た感じは赤い羽根募金に貰えるやつね。そこについてる名札に【ハイソン】と【アイン】の名前がついてる。
「ゴミ拾い専用のアイテムBOXは【BOX】を選んだ時に選択出来るようになってます。それを私達に返却した後、中に入ったアイテム等は渡しますから」
「本当だ!? 【BOX】を選んでみたら、二つに分かれてるんだけど!!」
紅が見たように、私も確認してみるけど、【通常】と【イベント】の二つに分かれてる。
「【転移の翼】を使用する時は、手にした羽根を握りしめたら大丈夫です。ただし、魔物との戦闘時に使えません。それと建物や洞窟等の天井がある場所では……」
「ぐはっ!!」
受付嬢の説明の最中、ズドン!! と激しい音がしたかと思ったら、マンがギルドの天井から落下してきた。
「……天井がある場所で使用すると、頭をぶつける事になるので、危険ですから止めてくださいね」




