それは流石に食べれません
「ど、どうした!? 料理でも爆発したのか?」
ミナミは料理が爆発するほど下手って事!? そんな音は聴こえてこなかったから、カイの冗談だと思うけど……
「あの人が……えっと……マン様ではなく、眼鏡の人が」
ミナミは三太の名前が分からないみたい。自己紹介もしてなかったから。眼鏡の人と呼ばれても仕方ないか。
「三太が何かしたわけ? 筋肉がいるんだったら、怒ると思うんだけど……私がとっちめないと駄目かな?」
確かに……マンが一緒にいるんだから、ミナミに迷惑をかけるような事はさせないと思うんだけど……ご飯に夢中で気付かないなんて事は……あるかも。
「ち、違います。三太……さん? が突然目の前から消えてしまって。一体何がなんだが……魔物も小屋を壊して、何処かに行ってしまうし」
「ああ……冒険者は【ログアウト】というので、突然消える事があるんだよ。それじゃないかな? とはいえ……小屋が壊れたのなら、修理しないと!!」
「ゴメンナサイ!! 修理は私達も手伝います」
「私も……モグモグ……手伝おう。弟子の不始末は……モグ……師匠の責任でもあるし、そういうのもやってみたいぞ……モグ。入口の反対側は全壊してる……モグからな」
マンもミナミに続いて、小屋から出てきた。モグが語尾みたいになってるぐらいに、モグモグ何かを食べてる。
マンが食べてるのはタコ。それもマンの腕に絡んで、生きた状態のまま食べてる。現実でもそういう食べ方があるのは知ってたけど……豪快過ぎでしょ。
「あわわ……そのままでも美味しいとは言いましたが……タコ焼きにしなくても良かったんですか?」
調理前に三太が消えたから、ミナミは慌てて外に出たみたい。カイにもちゃんと調理するように言われてたし。
「問題ない。凄い弾力で、戦闘してる感じで食べれるのは面白いぞ。カズハ達も食べてみるか?」
マンはタコが絡みついた腕を差し出してきた。その内の一本の足を食べてみろといわんばかりに……
「ゴメン……タコは当分食べたくないかな」
「私も無理だわ」
「全部マンが食べなよ」
「そうか!! 皆には悪いが」
私、紅、四壱全員が拒否。
「嫌いなわけじゃないけど、戦闘した相手が半分タコだったから、それを思い出すというか。用意してくれたミナミは悪くないから」
タコナスを見た後で、タコを食べるのは……本人を食べてる風に思えて……無理だわ。
「は、はい。それと……彼が無事なのでしたら、安心です」
ミナミは三太が無事だと確認出来て、安心した顔になってる事から、良い人なのは間違いないかも。
「無事ね……三太は【ログアウト】するって、筋肉に告げたわけ? 予定の時間にはまだなってないはずだけど」
「ん? カミカミ……何も言ってないぞ。またしても強制【ログアウト】じゃないか? 何度もやって、ゴーグルが壊れなければいいんだが」
「ゴーグルもそうだけど、脳とかも大丈夫なの?」
途中で現実に引き戻されるから、脳の負担とかありそうだけど……
「そこは配慮されてるはず。災害があった時、それで動かなくなったら意味がないから。七兄が言ってた」
兄さん曰く、そういう安全面はきちんとしてると四壱が説明してくれた。
「まぁ……違った意味で無事かは分からないけどさ」
強制【ログアウト】されられる以上、現実の三太は何かしたのかも。




