渾身の一枚
「ん? 終わりなのか? 楽しくて、思わず熱中してしまったぞ」
マンは私にマウントポジションを取った状態になってた。それを解いて、先に立ち上がり、私が立ち上がれるように手を差し出してくれた。
「私的にそこまでの余裕はなかったけどね。実力差があるのを痛感したよ」
私はマンに差し出された手を取った。ちゃんとした攻防になってたようで、ダメージ差が全然違う。私の攻撃にマンはピンピンとしてるのに、私はたった一撃で左腕がおかしくなったから。
前衛職と支援職の差、やり込み時間の差とか色々あるかもだけど、まだまだと実感出来た。
「そうなのか? 私は流石と思ったぞ。あそこまで回避出来たわけだし、ドロップキックを落とされたのも関心したんだが」
「うぅ……複雑な気持ちになるから」
マンは素直に良かったところを褒めてくれるけど、それだけマンには余裕があった事になるから、それはそれで悔しいから。けど、遺憾が残るわけじゃないから。
「攻防の速さもそうだが、迫力も凄かった。カズハの良い写真は撮れたのだが……逆に水着姿が邪魔しているか。……あそこまで本気だとは思わなかったからな」
「それはそうでしょ。言っとくけど、筋肉は本気を出してないからね。本気出す=写真に載せれなくなるから」
紅が武藤さんにツッコミを入れてる。私は本気を出したけど、マンの全力はパンツ……今はフンドシを外しての全裸じゃないと駄目だから。
「そうなのか!? あれで本気でないとすると……彼は凄いんだな。とはいえだ。この写真を使わないのも勿体ない。候補には入れるぞ。もしくは、【ユニユニ】の宣伝で使ってもおかしくない一枚だ」
武藤さんはその写真だけは先に私達に見せてくれた。
その場面は私の上段蹴りとマンのドロップがクロスする瞬間。格闘技の写真に使えそう……なんだけど、水着の写真ではないよね。
「こういう一枚は羨ましいかも。カナリアと四壱の写真もあの感じだと、良い写真になってそうだし。私も……って、私のパートナーは三太だ」
紅は私や四壱みたいに凄い写真を撮って欲しいみたいだけど、その相手が三太だからか、明らかに残念な顔をしてる。
「三太も日々成長している。モデルが嫌だと土下座していたが、今は格好良いポーズを模索してると言っていたぞ」
私と紅、四壱がタコナス達と戦闘してる間、マンと三太は合流してたわけだから、巨大化したヒトデナシとイカンの戦闘後、話をしててもおかしくないわけで……パープルーダに捕まってから、精神的に成長したのかも。
「私もその話は聞いたわ。それが嫌なの。漫画やアニメのパクリだからね。呆れて、何も言えなかったから。武藤さんが注意してくれるはずだし」
紅と四壱は三太救出の時にいたから。この島に来る前にポーズの一つでも見せてもらったんだと思う。四壱も紅の言葉に深く頷いてる。
そんな話をしてると新たに【ログイン】が表示された。




