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薔薇

「神殿とかじゃなくて、洞窟? 地面がヌメってるのも海が近いから」


 階段を降りきると、真っ直ぐな道へ。地下は海中に近いのもあるのか、歩いてる箇所はドロドロに近い状態。速く動こうにも足が掬われ、転ける可能性も。


 横幅が狭い状態だから、そんな事も言ってられないけど。ここで広範囲のアーツを受けたら、全滅してもおかしくない。その前に道が壊れるかも。そうなれば、タコナスも地下に閉じ込められるから、攻撃を仕掛けてくる事はないと思う。


「……結構怖いわね。暗闇じゃないだけ、まだ良いんだけどさ。マン達の戦闘で崩れてこないかヒヤヒヤもんじゃない?」


【光のランタン】はヒトデナシ戦で無くなったけど、今は淡い青白の光が洞窟内を照らしてる。光の理由は解らないけど、暗闇を進むよりも全然良い。


 タコナスがここで攻撃を仕掛けてくるよりも、地上の戦闘がここまで揺れて、地盤落下しないか不安になるのは分かるかも。


「流石にそこは大丈夫だと思うよ。相手もそんな馬鹿じゃない……はずだし」


 四壱はタコナスの姿を思い返してみると、ナルシストな面を考慮すると少し馬鹿……と思ってる顔をしてる。


「声? だけじゃなくて……もうそろそろ着くかも」


「……ああ。なるほどね。なんとなく分かったわ」


『美しい』やら『たくましい』、『凛々しい』等、タコナスの声が洞窟の中で響き渡ってくる。


「……あそこだ。広い場所になってるのが分かるし」


 少し進むと広い場所へ。周囲全体が青く光り、水族館……海の中にいるような雰囲気に。


 奥には巨大な竜の像と両隣に魚人と人魚の像が。その側にタコナスと武藤さんの姿があるけど、タコナスや武藤さんも私達に気付いてない様子。


 他には水玉? カプセルのような物にヒトデとイカが分裂を繰り返していて……もしかしたら、あれがヒトデナシとイカンの本体で、水玉を壊せば、マン達の戦闘を終わらせる事が出来るかもしれない。


「武藤よ。どのポーズで出迎えたら美しいと思う。どの台詞を言えば、威厳があるだろうか」


 タコナスは真剣な声で武藤さんに相談してるんだけど、どんな事をしても、私達はそんな事を思わないから。


「隙だらけなんだけど? 四壱の弓で倒せるんじゃないの?」


「……前回、それで防がれてる。安易に撃たない方がいいはず。下手に避けられて、武藤さんの方に行くのも駄目だから」


「武藤さんが近くにいるからね」


 今の状況で倒すのは……タコナスは武藤さんに相談するぐらいには信用してるみたいだし、武藤さんも微妙にタコナスと仲良くなったのなら、不意討ちで倒すのはちょっと可哀想かも。


「あっ……残念だが、彼女達なら、すでに目の前に来てるぞ」


 武藤さんは私達が来た事に気付いて、タコナスに教えてるから。


「何だと!? よくぞ来てくれたな。麗しい者よ」


 タコナスは二本の足で立ち、他の六本の足は顔よりも高く上げた。そして、腰を軽く曲げて……


「……何のポーズなの?」


 私は謎のポーズに思わず声が出てしまった。


「我自身も花に見立てたポーズだ。薔薇のように美しいだろ?」

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