勧誘はNGで!!
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「お疲れ様です。これがブラック様からの報酬なので、お受け取りください」
私と受付嬢は地下から受付がある元の場所に戻り、紅の再戦を引き受けた事による、ブラックからのレアアイテムを貰った。
「【パワーリスト】みたいですね。あの戦闘を見る限り、カズハ様には良いアイテムだと思いますよ。説明を読んでみてくださいね」
【パワーリスト】。アクセサリー扱いで、両腕に身に着けると重さによる負荷が掛かり、力や速さの成長率を高める。ただし、その重さに慣れてしまったら、その効果も無くなるみたい。
というわけで、【パワーリスト】を身に付けてみる。重さは……全然気にならない。それ以上に重い物を身に付けて頃があったからかも。
「全く効果がないんだけど……これは千……もいらないかな」
【ユニユニ】では千なんだけど、千城院と口走りそうになるんだけど……それは置いといて、私でも重さを感じないなら、千城院さんなら尚更いらないでしょ。勿論、マンも必要ないと思う。
「はぁ……損した気分なんだけど。次に会う時があれば、交換してくれないかな」
ブラックはマンに御執心みたいだから、いずれ会う時があるかも。紅に関しては……再会した時には勝負の続きをするはめになりそう……
【模擬戦】直後、私に迷惑をかけまいと、ブラックが駄々をこねる紅を引き摺って行ったから。C級に昇級するためのクエストも、別の街で受けさせるみたい。
「っと!! 今回の件は本当にゴメンナサイ。ギルドにも迷惑を掛けたと思うし」
今更だけど、ちゃんと受付嬢にも謝っておかないと。変な噂とか流されて、千城院さんの耳に入ったら嫌だしね。
「全然、全然ですよ!! 【模擬戦】、最後の言い争いは頂けないですが、その前の戦闘は凄かったですからね!! あれはE級やD級の動きじゃないですよ。カズハ様と紅様が再度勝負する時は他の受付嬢ではなく、私に声を掛けて欲しいぐらい」
マンがギルドカードを登録する時もそうだったけど、この受付嬢は興奮……熱くなるタイプなのかも。
「いや……カズハ様の攻撃もビックリでしたけど、回避と防御の方が凄かったです。マン様だけじゃなく、カズハ様も私の推しの冒険者になりましたからね。二人が同じパーティーで良かったですよ」
「推しって……」
私も千城院さんを推してるから人の事は……じゃなくて、受付嬢はNPCなわけで、本当に人と何も変わらないんじゃないの!? 酒屋の店長や馬車の乗り手も作られた感じはしなかったしね。
「それなら、その推しに何かくれたりは……」
「しませんね。けど、情報ぐらいなら少しは提供する時があるかもしれません」
推し活で何かをくれるかなと思ったけど、流石に無理みたい。でも、情報をくれる時があるのは助かるかも。
「確認してみると、カズハ様は三つのクエストを達成してますよね? その報酬はマン様が一緒に渡すとして、もう一つクエストを追加しましょうか? E級から、どのランクでも受託出来る物で、残りのクエスト達成のためにも、丁度良いのではないでしょうか?」
・嘆きの森のゴミ拾い 【報酬】 なし
嘆きの森がゴミで汚れ、魔物達が寄ってくる可能性がある。三時間の掃除、ゴミ拾いをお願いしたい。報酬はないが、ゴミの中に必要なアイテムや素材があれば、持ち帰ってもOK。(昇級のためのクエストにはならない)
「このクエストは時間帯により、場所が変更になる事があります。極稀にレアアイテムが落ちてる事があるかもしれないですよ。しかも、クリアしても何度も挑戦可能です」
アイテム、素材を集めるのに良さそうなクエストだけど、三時間必要なんだよね? レアアイテムが落ちてるのは魅力的だけど、何度も挑戦出来るのが怪しいわけで、『極稀に』と言ってたのを聞き逃してないから。少し考えるところ……
「後、C、D級のクエストを引き受ける事が出来るかもしれませんね。C級の冒険者が引き受けたクエストであれば、一緒に行く事も可能ですから。B級になると流石に無理ですけどね」
「そんな事言われても、私は他にパーティーを組むつもりはないんだけど?」
「私としてもマン様以外と組んで欲しくない気持ちはあるんですが、【模擬戦】を観戦した冒険者もいたわけでして」
確かに観戦者の数字は5と表示されてたけど……
「カズハ様を勧誘したい冒険者が出てくると思いますよ」
チラチラとこっちを見てくる陽キャっぽいパーティーが何組かいると思ったけど、そういう事!?
全然そういうのは求めてないから!! 今はマンと一緒のパーティーだけで十分……って、こっちに近付いてくるんだけど!!
「そこの君。少し良いかな」
「【ログアウト】!!」
断るのも面倒臭いし、嫌な奴だったら、自然と拳が出る可能性も……そうならないためにも、殴る前に【ログアウト】。感じが悪いと思われても仕方ないし、そう思ってくれてもいいから。




