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我は美しい

「もう少しで島の中央付近ね。魚人の姿も増えてきてる。ここからは本当に見つからないようにしないと」


【MAP】を確認しなくても、魚人達の動きでおおよそ分かってくる。魚人達が東に向かっていく姿もあるのは、ロマンへの増援。マン達を倒しに向かってるんだと思う。


「魚人達が来た道の逆を行けば、リーダーが会議を行ってる場所……本拠地に着くわけね」


「まずは確認するだけ。本拠地に残ってる魚人の数もそうだし、人質の確認。行けそうなら、島にいるカズハの仲間を呼んでもいいかもしれない」


 私と海は両手に大きな葉を両手に持ち、身を隠す壁として持ち運んでる。


「了解。四壱だったら、武藤さん達の近くにいる敵も倒してくれそう」


 四壱も魚人を倒すにもその場で踏み留まらず、別の場所へ転々と移動してるはず。私達が仕掛ける前に連絡すれば、援護のためにこっちに来るだろうから。


「ストップ。……見えてきた。あれが人質になってる冒険者……人魚の仲間に下半身がタコの奴がいたりする?」


「下半身がタコ? 昔、【リヴァイアサン】に寝返った奴がそんな格好だと聞いたような……そいつがいるわけ? 私の目だともう少し近寄らないと駄目かも」


「多分、もう少し接近しても大丈夫だと思う。【リヴァイアサン】に寝返った元人魚の仲間って感じね。そいつがリーダーっぽいんだけど」


 最初見た時は冒険者? と思ったけど、下半身は水着じゃなくて、タコのような足が何本も生えてた。上半身は裸で、性別は男性だと思う。


「……武藤さんは無事みたいだけど……何やってるのよ」


 タコ男の近くに武藤さんの姿が……しかも、武藤さんはタコ男をモデルに写真を撮ってる。変なポーズを何度もしてると思ったら、写真のためっぽいけど……そんな事が出来るのはリーダーぐらいでしょ。


「ああ……あのタコ男はナルシストっぽい顔をしてるわね。彼も写真を撮ってる間は無事なんじゃないの? というか、この島に移動してきたみたいに、別の場所へ行くのを運営に頼めばいいでしょ」


 海もタコ男の姿が見える距離まで来て、第一声がナルシストって……確かにそんな顔をしてるし、ポージングからも窺える。武藤さんの事も確かに言われたらそうなんだけど……


「武藤さんも【ユニユニ】を楽しんでるのもあるかも。タコ男をモデルにするなんて滅多にないし、もしくは何か考えがあるのか……」


 無さそうな顔はしてる。【ユニユニ】を楽しんでるのもあるけど、撮影自体を楽しんでるのかも。


「我は美しい」


 ドーン


「主は更に美しい」


 ドーン」


「皆も美しくなれるのだ」


 ドーン


「そのためにも働くがいい。うむ……良い具合に音が鳴っているぞ


「……ロマンの音がタコ男の発言の効果音になってない? やっぱり、ナルシストっぽいし」


「あんな奴がリーダーなら、口だけの可能性もあるかも。試しに四壱が弓で攻撃を」


 私がそう思った矢先、三本の矢が隙だらけのタコ男へ向かっていく。

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