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お支払いはブラックで

「勝負する方法は色々ありますよ。なので、一旦落ち着いてくださいね。皆様の迷惑になりますから」


 受付嬢が私と紅の間に割って入ってきた。冒険者ギルドの中で言い争ってたから、ギルド自体に迷惑を掛けているわけだからね。そこは謝っておかないと……


「「ゴメナサイ」」


 私と紅の声が重なった事で、またしても睨み合いが続いてしまう。


「はぁ……勝負の方法は【模擬戦】にするのはどうでしょうか? ギルドが立会の元、一対一での試合をするわけです。これはPK扱いにもなりませんし」


「相手は僧侶だぞ。私が勝つのは目に見えてるって。クエストの攻略の時間とか」


「私は全然構わないけど? 貴女も【支援職】の盗賊なんだから。力の差を示すなら丁度良いでしょ」


「誰が盗賊よ!! 私の職業は【双剣士】。腰の両側にある武器が見えないわけ!?」


「いや……見えてるけど?」


 千城院さんのパーティーになりたいなら、【前衛職】を選ぶべきじゃないでしょ。泥棒猫の【盗賊】の方がまだ見る目があったのに……


「上等じゃない。後で泣きを見ても知らないんだから」


「その言葉をそのままお返しするから」


「【模擬戦】をする事で構いませんね? では、お一人10000Gをお支払いください」


「10000G!?」


 受付嬢は笑顔で私と紅からGを受け取るために、手を差し出したんだけど、そんな金払えるわけないでしょ。 紅も同じみたいで、またしても声が重なってしまったじゃない!!


【荷物運びの護衛】の達成の報告をしたとしても、マンと分割されるから500G。スライムやイモチュウ、ゴブリンの素材を売ったとしても、10000Gは絶対無理。E級やD級に求める値段じゃないでしょ。


「もしかして……私達が五月蠅かったから、その迷惑料とかだったりは……」


「違いますよ!! 【模擬戦】は戦闘経験も然ることながら、大幅に成長する可能性もあるからです。E級とD級の【模擬戦】だから、これだけで済んでるんですよ。これがブラック様になると一桁以上違いますから」


「受付嬢の話は嘘じゃない。ここは大丈夫だが、他のギルドに行くと【模擬戦】を頼まれる事が何度もある。その時は相手側が費用を払ってくれるがね」


 確かに……対人戦は成長出来るんだよね。それは空手も同じで、強い相手なら尚更勉強になる。それ相応の値段になるのも頷けるし、ランキング二位のブラックに挑むのなら、相手がお金を払うのも納得出来る。私と紅の【模擬戦】のGは最低額かもしれない。


「納得は出来るけど、そんな金を私達が持ってるわけないでしょ。先に言って欲しかったわね」


 癪だけど、私もそこは紅に同意する。さっきまでの流れの時間を返して欲しいわ。


「そこは大丈夫じゃないですか? 二人の代わりに払ってくださる人がいれば……」


「……私か!?」


 受付嬢が目を向けた先にいるのはブラック。ランキング二位の冒険者が払えない金額ではないと思うけど!!


「はい。紅様の親と言ってましたよね? これ以上、ギルドに迷惑を掛けさせないためにも……いかがでしょうか?」


「うっ……了解した。私が二人のお金を支払おう。その代わり、私も【模擬戦】を観戦させてもらうぞ」


「構いませんよ。これでカズハ様と紅様の【模擬戦】を承る事が出来ました」


 受付嬢の笑顔の圧に負けて、ブラックが紅だけじゃなく、私の分のGも払ってくれた……『後から返せ』とか言われないよね?


「それでは【模擬戦】を行う場所まで案内しますね」

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