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歌声対決の勝者

「ほげ〜ほげ〜ほげ〜〜」


「な、何? 私の歌声を邪魔してくる怪音は……」


「うぅ……これは……J以上の」


「耳が……頭が……千様が消えていくんだけど!!」


「マン!! 歌うのを止め……ない方がいい? けど、この歌に耐える方が」


 マンは自信があって歌声を披露したと思いきや、予想外の音痴……それ以上の怪声で、カナリアの歌声だけじゃなく、人魚の歌声による幻覚も打ち消してしまう。


 ただ……頭や耳の痛さが半端なくて、どちらかというとダメージが大きいのは人魚よりも、マンの歌声の方。全員が両手で耳を塞ぐ状態に。


 マンは歌うのが気持ち良くなってきたのか、声が更に大きくなり、音程も更に酷くなる。


「筋肉の天使が迎えに……」


 武藤さんはマンの歌声の酷さにマンの天使姿を見たのか、その直後に意識を失ってしまった。このまま放っておく事も出来ず、何とか近付いて【ヒールLV2】で回復を試みる。


「いや〜!!」


「こんな歌……酷すぎるわ」


「人じゃなくて、魔物の歌でしょ? 酷い目に合わされるの嫌だよ」


「魔物が相手なら、私達は一旦離れましょう」


 私や紅、四壱とは別の女性達の声が響いてきた。多分だけど、人魚達の声だと思う。四人はいたみたいで、マンの歌声の酷さに、ドボンと次々と水の中へ逃げていく音が聴こえてきた。カナリアは【アーツ】の歌声で競り負けたのに、ただのマンの歌声で退けるとか……カナリア自身も歌うのを止めてしまったぐらいだし。


「聞こえた? 人魚達は逃げたようね。魔物の歌と勘違いしたみたいだけど、流石にそれは魔物に対して失礼だわ」


「えっ? 何?」


 紅はヨロヨロしながら、私の方にやってきた。多分、そんな風に言ってるんだと思うけど、上手く聴こえない。マンのステージは続いていて、別の歌に移行してる。それもまた酷いから。それが紅も分かったのか、耳元近くまで顔を寄せてきた。


「人魚がいなくなったみたいだから、マンを止めないと駄目でしょ。南の島に着く前に私達が全滅するわ。人魚の件も、今回の事を報告すればいいと思うから」


 人魚達の件は私達を追い払おうとしたの確かで、下手したら事故になってたのは確か。これはギルドに報告していいと思う。カイ自身もそれを体験したわけだし。


 それよりとマンの歌声を止めるのが先。四壱やカナリアは膝をついた状態。カイも倒れてる。けど、あの歌声を更に近くで聴くのは勇気がいる。紅も私に行かせようとしてるし!!


「いい加減にしなさいよ!! 海の中まで響かせないで」


 姿を隠していた人魚が海の中から顔を見せて、何かをマンに投げてきて、すぐに戻っていく。それは大きな貝っぽく、マンの顔面にストライクして、歌をキャンセルした。人魚が私達を助けてくれた……わけじゃないんだけど、助かった。


 マンはというと、歌を邪魔された事に怒って……なくて、貝を開けて、中身を一口。「美味い!! 醤油が欲しい」と叫んでいた。

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