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女性扱いされてないんだけど!?

「そんな事を言ってる場合じゃないか」


 ゴブリンの獰猛さ、殺る気はスライムやイモチュウ、PK達よりも上。もしかしたら、その形相に逃げ出すプレイヤーがいてもおかしくないかも。空手の試合の緊迫さに通じるところがあるし……


 距離が近付くにつれ、ゴブリンの大きさも分かってくる。私の半分、子供ぐらいの大きさ。三匹共に武器は持たず、速さもそこまで持ち合わせてないけど……


「GGYAAAAAA!!」


 ゴブリンAが叫びながら、私に向かって飛びついてくる。その高さは私の身長を簡単に超えてきた。


「武器がないからって、甘いよ!!」


 上段回し蹴り。私の得意だった足技。一撃で倒すには威力も必要。それにゴブリンは右に蹴り飛ばされ、消滅。それに怖じけるゴブリンB、Cじゃなく……


「ドンと来なさ……いよ……って、えっ!!」


 ゴブリン二匹は私と乗り手を無視して、馬車を通り過ぎ、マンの方へ。勿論、マンがワンパンで撃破したわけなんだけど!!


「カズハ様!! 新たに前方にゴブリンが五匹出現しましたよ。左右からも一匹ずつです」


「えっと……ごめんなさい!! 集中するから」


 ゴブリン三匹を撃破した事で、新たに七匹のゴブリンが追加されたみたい。左右はマンに任せて、私は前方のゴブリンを倒すため、馬車よりも少し前に出る。


「空手の技じゃないけど!!」


 ダッシュからの体当たりで、ゴブリンDを突き飛ばした。そのまま、しゃがみ込むと同時に下段回し蹴りで、ゴブリンEの足をなぎ払う。これで二匹の態勢は崩れたけど、残り三匹はその隙を狙ってくるはず。


「ここは受けに回って……ちょっと!!」


 ゴブリンF〜Hは私の隙を無視して、再度マンの方に走って行く……


「ゴブリンは女性を狙うんじゃなかったわけ!?」


 倒れたゴブリンD、Eにトドメの正拳突きを腹に喰らわせ、消滅された。


 乗り手はゴブリン達は私を狙ってくると言ったのに、マンばかりに攻撃を仕掛けるんだけど!!


「そのはずなんですが……今回は酒の方を狙ってるのでしょうか?」


 馬車は私に追いつき、乗り手も私が襲われない事に、不思議そうな顔をしてる。


「大丈夫。問題ない!!」


 マンはというと……群がるゴブリン達を【ダブルラリアット】で粉砕。回る勢いで少し宙に浮いてたような気がするのは無視しておこう。これも【アーツ】じゃないはずだし……


「まだまだ来ますよ。前から二匹」


「後ろからも五匹は来てるぞ」


 乗り手とマンが叫ぶ。後方のゴブリンの数が増えたのは偶然? マンを狙ってるわけじゃないよね?


「まさかだけど……私って、女性キャラ扱いされてないんじゃないの!?」


 前方のゴブリンKを倒して、マンの方に向かうゴブリンLの横腹に蹴飛ばしながらも考えた。


 案内役の斉藤さんが私をゴリラ扱いしたから、今の場面にも反映されてるとか? 【ユニユニ】のユニークさならありえるかもしれない。見た目を考えると、マンの方がゴリラっぽい気はするんだけど。


「それとも裸効果!? マンの装備がパンツだけで、魅力的に感じるとか?」


 女扱いされてないとして、私とマンのどちらを狙うかになると、マンに比べて比べて弱く見える私を選ぶはずだし、乗り手に攻撃してもおかしくないんだけど?


 違いがあるとすれば、マンだけが服を着てないのよね。そう考えると納得……出来るわけないでしょ!!


「凄いですよ!! ゴブリンの増援が止まりました。出現するゴブリンを全滅させたんじゃないですか? このまま【ハイソン】の村に……」


 増援が止まったところで、ゴブリン達が全滅したと思ったら、そうじゃなかった。量ではなく、質に変わったみたい。所謂、今回のボスキャラ的存在?


「ホブゴブリン!? ゴブリンの上位種ですよ。何でこんな場所に」


 ホブゴブリンは緑色じゃなく、青色の体をしていて、マンより少し大きく、デブってる。それに大きな棍棒を武器として所持している。パンツも進化していて、布地になってる……のは置いとくとして……


「最後の関門ってところでしょうね。丁度いいわ。【魔物五種撃破】のクエストも達成出来るわけだし」


 野盗、スライム、イモチュウ、ゴブリン、ホブゴブリンの五種。NPCの会話も【ハイソン】で達成出来るし、残るは素材集めと……ホブゴブリンを倒す事!!


「先に行かせてもらうからね」


 どうせ、ホブゴブリンもマンを狙うだろうから、私が成長するためにも、先にホブゴブリンに挑戦しないと。


 ホブゴブリンはゴブリンより大きくなってる分、速さが落ちてる。そして、懐にも入りやすくなってるのなら!!


「おりゃりゃりゃ!!」


 正拳突き一発ではなく、三連。これで膝をつくぐらいのダメージは……


「硬っ!!」


 ホブゴブリンの腹は大木を殴ってる感じがするんだけど!! これは全然ダメージが入ってないかも。倒れるまで連打……は無理!! 


 ホブゴブリンが棍棒を横振りしてくる。回避する余裕もなくて……


「……っ」


 殴り飛ばされて、地面を何度も転げ回るはめに。両腕で【十字受け】して、威力を少しでも軽減するために軽くジャンプしたのに……


「防御してなかったら、死んでたわ」


 危機的状況。強烈な痛みは一瞬で、痛みが無くなった代わりに両腕が全然動かなくなってるし……【魔法】を【受け流し】した時と全然違うから。


「こういう時に【ヒール】を使わないと」


 ホブゴブリンがマンの方に向かってる間に【ヒールLV1】で回復すればいいんだけど……狙ってきたのはマンじゃなくて、私の方に近付いてきてるし!!


「上等じゃないの!! 絶対に倒してやるんだから」

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