ゴブリンが女好きなのは定番です
「これは……ゴブリンの発する臭いですよ。ここまで漂ってくるという事は、ここら一帯にゴブリンが集まってるのかもしれません」
馬車の乗り手が教えてくれたけど、まぁ……そうなるよね。夜の時間にもなるし、ゴブリンのフラグは立ってたわけで……【ハイソン】に到着する前に出現するだろうとは思ってたよ。
「少しでも先に進みましょう。夜になると同時に襲い掛かってきますよ。【ハイソン】の村の中に入れば安全ですが、流石にゴブリンを全滅させるのは……十体以上は確実にいると思います」
「【ハイソン】の中にゴブリンが侵入する事はないんだったら、無理に全滅させる必要はないわけね」
酒樽を守る事を考えると、【ハイソン】まで突き進んだ方が安全。クエストを失敗するわけにもいかないんだけど……
「そうです。それに……ゴブリンは酒好きですが、女性はもっと好きでして……カズハ様を必要に狙ってくる可能性もあるかと」
ゴブリンが女好きなのは有名でしょ。兄さんの部屋にある漫画にもそんな感じのがあったから……
「って、私が狙われるわけ!? 上等よ。受けて立ってやるわ」
「……えっ!? 怖くないんですか!! 単体では弱いかもしれませんが、大勢のゴブリンが襲い掛かってくるんですよ?」
「そんなのスライムの方が嫌だから。ゴブリンは殴れるでしょ?」
ゴブリンは人型だろうから、存分に殴れるはず。スライムで溜まったストレスを発散する良い機会。空手で百人組手とか経験あるから何とかなるでしょ。それに……
「私もいるからな。問題ない」
マンは自信満々に腕を組みながら、私にアピールしてる。
【嘆きの森】の時は始めてのVRゲームで、PK達に襲われて焦った事もあったけど、今はパーティーにマンがいるからね。背中を預ける事が出来る人がいるのは大きいぞ。
「凄い自信ですね……分かりました。一気に行きますよ。ゴブリン達は何処から出現するのか……倒す度、続々と襲ってくるので、気を抜かないでくださいよ」
「野盗の時と同じだな。少し離れていたが、何もない場所から登場した時は驚いたぞ」
野盗B〜Fが馬車を襲ってきた時、周囲に誰もいない事は確認したからな。やっぱり、突如として出現したみたい。少しでも距離があるだけ良かったと思っておかないと。
「分かった。私が馬車の前で注意を引くから。マンは後ろから酒樽を守って欲しい。後方から来る可能性もあるから」
私→馬車→マンの陣形ね。ゴブリンが前方から来た場合、私を標的にするとして、後方は酒樽を狙ってくるだろうから。
「夜になりました。周囲を警戒してください。今日は月明かりのお陰で、ゴブリンの姿が確認出来るはずです」
夕暮れから一転して、夜の暗さに。月と星の光によって、真っ暗闇の状態は避ける事が出来た。
【ハイソン】の村まで【MAP】を確認すると、およそ三キロぐらい? そんな中、緑色の小鬼が三匹の姿が見えて、あっちも私達を見つけた感じだ。あれがゴブリンでしょ!! しかも……
「前方にゴブリン三匹……パンツを履いてるんだけど!!」
「そこに驚くんですか!? ゴブリンでもパンツぐらいは履きますよ」
ゴブリンは草と葉で作られたパンツを履いていたんだから。マンと最初に会った時は全裸だった事を考えると、ビックリするのも当然じゃない?




