表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

200/422

実力の差

 私も阿修羅同様に構えを取り、徐々に距離を詰めていく。私達の構えは最後に試合した時と同じなのは、十星なら気付くはず。


 そして、互いの攻撃の射程範囲に入った時、戦闘が開始された。私と阿修羅の背の高さは、阿修羅に軍配が上がり=攻撃範囲の広さにも繋がる。


 阿修羅にとっては挨拶変わりの連撃。あの試合の時の入り方と同じ。初見だったら、その挨拶で倒れていたかもしれない。


【陽炎】。十星亜朱が得意とする足技。最初はローキック。初動が早い事もあって、それを防御するのは難しい。けど、それは牽制であり、本命じゃない。同じ動作、目の誘導で下の攻撃だと幻を見せた直後のハイキック。


 それに合わせるように軽く前蹴りをして、距離を離す。【受け流し】をするにしても、それを利用されて反撃された事があるから警戒しておかないと。


 更に言うなら、阿修羅は本気を出してる様子はないのにも関わらず、前回よりも蹴りのスピードが増してるのが分かる。簡単に【受け流し】をする事は出来ない。


 阿修羅は前蹴りをバックステップで躱し、すぐに前へ出てくる。そして、顔面への貫手……これは空手の試合じゃないから反則でもなく、目潰しを狙ってきてる。


 目潰しという行動に、普通は一瞬でも体が硬直してもおかしくないけど、その貫手の打つ速さがいつもの突きよりも遅い。


 貫手自体が罠で、【受け流し】をするのを待っているのか、回避に合わせての攻撃を選択しようとしてるのか。勿論、貫手が本命なのもありえる。瞬時の判断が重要になってくる。


 私が選んだのは受け……といっても、空手にはない頭突きで対抗。私の行動に阿修羅は貫手を掌底の形にして、突き飛ばす。


「……ふぅ……はぁ……はぁ……」


 この一連の行動はほんの数十秒。それだけで息を切らす程に体力と気力の減りが半端ない。それに比べて、阿修羅の方は余裕があるのか、今度は私から攻撃を仕掛けるのを待つかのように構え直した。


 勝てない……敗北が私の頭に過ぎった。【ナイトメア】や【クイーン】の圧倒的な力に恐怖したわけでもなく、純粋に実力に差がある事が分かった。


 阿修羅はまだ【アーツ】を使用してないとかじゃなく、私が空手を離れた後も【ユニユニ】で修業をしていたとすれば、努力の差。千城院さんにうつつを抜かしてた私と比べるべきはないのかも。


 けど、阿修羅が簡単に私を倒そうとしないのは、遊んでいる感じじゃないし、舐めてる感じもない。


 なら、私は四壱や紅の力を借りず、少しでも阿修羅に対して一矢報いたい。


 私は息を整えて、この後にあるイベントの事など考えず、阿修羅との戦闘にだけ集中……


「……ちっ。折角の楽しい時間に邪魔なんだよ」


 阿修羅が口を開いた。その声は十星亜朱と同じだった。


 そして、矢が私の横を通り過ぎる。これは放つ事が出来るのは四壱しかいない。圧倒的に不利……四壱も私と阿修羅の実力差を判断したとしても、ここで手助けをするほど、私の事を分かってないはずが……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 動きがとっても見えやすいです❇︎ [一言] 200部更新 おめでとうございますっ 着々と読み進め、ここまで来てたのかと こちらも驚きです 毎日の更新 素晴らしいです❇︎ とても長い道のりで…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ