阿修羅降臨
「面倒になったら【ログアウト】して、時間までゆっくりしたい気分なんだけど……他の場所に移動出来ないとなると、【ログアウト】していいのか悩むわよね」
「その気持ちは分かるかも。【魚人軍襲来】は防衛開始してから、【ログアウト】は死亡扱いと同じだからね。イベント離脱扱いにもなるから。今は大丈夫だとは思いたいけど」
今は小雨や風もあって、獣人の国の暑さは軽減されてるからマシだけど、あの暑さの中で設置を続けるのは地獄だから。それを【ログアウト】で撤退する事も可能なんだけど、今回に関しては微妙なところだと思う。
「でも、四壱をアキンドーなんかにプロデュースさせたくないし。そのための準備だと思えば……それで思い出したんだけど、カナリアが音楽イベントに登場したのはビックリしたよね。あれも実はアキンドーの手腕だったりするのかな?」
アキンドープロデュースで思い出した。カナリアが音楽イベントに出演したって事は、確実に今回の注目される冒険者の中に含まれてるはず。
「あれは卑怯でしょ。やるにしても、【魚人軍襲来】が終わってからだと思うんだけど!! 千様も登場しなかったし」
紅はアキンドーの手腕関係なしに、カナリアが音楽イベントに参加した事を怒ってる。
「そうなの? カナリアが登場するのは【ユニユニ】も関係するわけだし、注目の冒険者に選ばれるかもしれないね。でも、このタイミングだと、逆に他の冒険者から反感もあるかもね」
「そういう考えもあるのか……確かにそうだよね。注目されたい冒険者だったらそう思うし、卑怯と思うかもしれないか」
とはいえ、千城院グループと【ユニユニ】が協力したとはいえ、大規模なイベントじゃないし、そこまで宣伝もされてなかったから。そこはどうなるかだよね。
「まぁ……一番の問題は私達がどう目立つかなんだけど。【合体技】をするにしても、マンが来るまで生き残らないと駄目でしょ」
それはそう!! カナリアよりも注目されないと駄目な上、阿修羅と同じ防衛場所。観戦者は阿修羅の方に目が行きそうだし。
「色々と問題はあるけど、今は準備を進めないとね。大型BOSS相手にどうなるか分からないけど、しないよりかは全然ましだから」
「はいはい……それは分かってるから。分散して、袋を置いていくんでしょ。そのアイテムを渡しなさいよ」
私と紅は四壱から罠用のアイテムを受け取って、それぞれが別方向に……
「誰か【ログイン】したんじゃない? 人の姿が見えたような」
私達が【ログイン】した場所に人の姿が。遠目からでも間違いじゃないと思う。
「七兄じゃないね」
「三太でもないわね」
「マンでもないよ」
【フレンド】になってるから、誰が【ログイン】したのか分かるんだけど、誰一人として該当しない。
「という事は……残ってるのは阿修羅しかいないわね」
マン達以外、阿修羅しか考えられないんだけど、話を聞く限り、先に【ログイン】して、罠を仕掛けるようなイメージじゃない。