ゲームソングイベント
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「あんな事があったのに、足は自然と音楽イベントの方に行くんだよね」
今日の二十時から防衛戦が始まるのに、朝早くから音楽イベントがある広場に出掛ける私がいる。百瀬は……どうなんだろう?
昨日、マンがイベントに遅刻する事を言われて、【合体技】が難しくなってしまった。【合体技】の殆どにマンが含まれていたから。するにしても、到着するまでの間、私達が生き延びないといけない。
それがBOSSラッシュな上に、最初の相手はサメ人間。時間内に倒せなかったら、続々とBOSSが登場。マンの火力なしで挑まないと駄目なんだよね。
「サメには負けないつもりでいるけど……大型BOSSの対応は四壱と兄さん頼みになるんだよね」
サメ人間に関しては、私と紅がメインで戦う。本当は嫌だけど、三太の【ハイパワー】と【ハイスピーダー】を受ける事に。
それは【クイーン】との戦闘経験が役に立つはずなんだけど、力と速さがそれに追いつかないと意味がないから。難易度Sを観戦した時、サメ人間の動きを見る事が出来たんだけど、あっちの方が速さは上だし、噛みつき攻撃を受け流す必要がある。
そのためにパーティーを組み直して、三太にその二つを掛けた状態の戦闘を試したりもして、正解だった。
自分の動きに慣れてると、補助魔法に違和感を感じてしまったから。連撃のタイミングが狂うというか……
大型BOSS対策はマンが来るまでの間、遠距離攻撃が中心で、四壱の矢と兄さんの調合された攻撃アイテムを駆使するしかない。
ただ……この戦闘で注目……目立つような事は難しいんだよね。やっぱり、マンの姿もそうだし、強さが必要になる。しかも、サメ人間の時に補助魔法を使用すると、マンが間に合った時、【合体技】に対する負担も変わってくるから。
「あっ……音楽と歌が聞こえてきてる。朝から始まってるんだ」
駅を出て、すぐに音楽が鳴り響いてるのが分かる。ダンスバトルは予選とか、決勝トーナメントかあったみたいだけど、音楽イベントは一組ずつが歌っていくのかも。広場に着くまでに二曲程歌声が変わってたから。それも何処かで聞いた事がある歌なんだけど……思い出せないでいる。
「懐かしい!! このイベントはゲームソングばかりらしいぞ。マイナーからメジャーゲームまで……といっても、有名歌手が来るまではいかないけど」
「けど、千城院グループがゲームソングを選ぶとか意外だわ。そっちの方にも手を広げようとしてる感じか? 【ユニユニ】を開発したのは……それは流石にないか。開発者は一人だって噂だし」
歩いているうちに、通り過ぎる観客達の声が聞こえてくる。聴いた事のある歌だと思ったら、兄さんがやってたゲームのオープニングだった。
「兄さんが知ってたら、確実に来てた気がする」
兄さんはゲーム雑誌とかは持ってたけど、ブラック会社で働いていたせいで、ここまでの情報はGET出来てなかったのかも。
「……なるほど。千城院さんが【ユニユニ】をしてるのは、それが理由なのかな?」
千城院グループがゲーム方面にも事業を拡大するため、千城院さんにVRゲームの【ユニユニ】を体験させてるのかも。それも開発者と千城院グループが知り合いだという可能性もあるのかも。