合体技
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「今日は十五時までか……マン達と集まるのは二十時過ぎだし……【ユニユニ】で教会回りをするのも良いんだけど……」
雑貨屋のバイトが十五時までに変更になった。個人経営の店だから、店長の都合で早めに店を閉める時があるんだけど、今日がそれだった。
「昨日の【合体技】は散々というか……良い技がない事もなかったけど、ツッコミどころ満載だったし」
あの後、実際にマン達とパーティーを組んで、【合体技】に挑戦する事にした。地味にD級のクエストを達成して、C級に昇級可能にはなった。そこは臨時ギルドで昇級の手続きをするのは無理らしく、そこは置いとくとして……
まずはマンと四壱の【合体技】。これは【合体技】と呼んでもいいのか微妙なんだけど、使える事は確か。ただ、注目されるかは難しいところかな。
一つ目はマンが敵を思いっきり宙へと投げる。身動きが取れなくなった相手を四壱が狙い撃ちをする。獣人の鳥人なんかの空中を移動出来る相手には無理だけど、それ以外には効果的面だと思う。
二つ目はマンが四壱を宙へ投げ飛ばす。四壱が普通にジャンプするよりも遥かに高く飛ぶ事で、上空から無数の矢を放つ。それは雨のように全体に広げるのもありだし、一体に集中するのも可。
「それでも一番マシだったんだよね。デタラメに撃って、矢を雨のようにしたのも……紅と兄さんにも当たってたけど」
敵味方狙わず放った時、紅や兄さんに矢が刺さった時はあったけど……着地にはマンが受け止める形ね。流石に着地の衝撃はヤバそうだし。欠点は……敵を投げ飛ばした時と同じ。落ちてくる時に狙われる事がある事かな。
「そこは四壱なら矢で落としたりして、何とかしそうかな。あれも面白くはあったけど……」
あれはマンと四壱じゃなくて、兄さんと四壱。兄さんじゃなくても構わないんだけど……兄さんが敵の背中を取り、『俺ごと貫け!!』って、叫んでた。そんな事しなくても、四壱なら普通に当てる事が出来たからね。
紅と兄さんがマンと組んだ場合は……悲惨だった。
マンが紅の足を掴み、【ジャイアンスイング】をする。紅は双剣士だから両手に剣を持ってるわけで、範囲の広い回転斬りが出来たという【紅タイフーン】……どのタイミングが紅が飛ばされるかも分からないし、紅の方にもダメージがあるから。集団戦にしても、紅が飛んだ後は目を回していて無防備状態。集中的に攻撃されるから……目立つかもしれないけど……
兄さんとマンの場合は……兄さんがプロレス技でやってみたい事を言ってみたんだったかな? 敵をサンドする形でラリアットするやつ。結果……クロスする事なく、マンのラリアットに敵諸共兄さんも吹っ飛ばされる形に……マンと兄さんの力が離れ過ぎてたんだと思う。
他には兄さんが【硬化薬】という自身の体を鉄にするという防御用の道具があるんだけど、その鉄として固まった兄さんをハンマーのようにして、マンが敵に叩きつける【7ハンマー】も。これは装備扱いじゃなく、道具扱いみたいで、マンのパラメータが減る感じではなかったけど……見る方は引く気がする。しかも、兄さんの姿がロリだから余計に……
ちなみに【紅タイフーン】や【7ハンマー】はマンが命名だから。