注目されるための方法
「彼女が来るお陰で、僕達の防衛場所は注目されるかな。阿修羅の戦闘を見てみたい冒険者はいるだろうし、倒される姿を見たい冒険者もね」
「はぁ……軽く言うけど、私達が目立つハードルが高くなったんだから。BOSSラッシュだとしても、阿修羅が倒していくなら意味がないし」
四壱の言葉に、紅は呆れてる。
阿修羅はランキング三位なうえに、色んな意味で注目されてる冒険者。PKされた側は、阿修羅が倒されるところを見たいかもしれない。ソロでの圧倒的強さ、サメとの一対一の戦闘……観戦者は私達を邪魔と思ったりなんかも……
「阿修羅も何で私達が防衛する場所を選ぶのよ。他にも難易度Sはあったはずでしょ。もしかして……アキンドーの差し金じゃないの? カズハやマンが【災厄の獣】との遭遇率が高いから、今回も登場するとか言ってさ」
「それは……ありえるかもな。阿修羅が強い相手を求めるなら、【災厄の獣】は外せない。あの情報が欲しい人物がいたから、アキンドーも聞いたんだろうからな」
「阿修羅の方が注目されて、私達の邪魔も出来るわけだからね。いや……【災厄の獣】と遭遇するのはお腹一杯だから。今の私達で勝てる相手じゃないのは分かってるし」
今回は【災厄の獣】の登場はないと思ってるのに、フラグみたいなのを作らないで欲しいんだけど……
「ふむ……となれば、私が阿修羅を倒せばいいんだな」
「えっ!? それはイベントと全く関係なくなる気が……私達が倒すのは魚人達であって……」
流石に連続でBOSSが出現するのに、阿修羅も私達を相手にするとは思えない。逆に魚人達の手伝いをしてる感じに……それもある意味で注目はされるけど!?
「勿論、不意討ちなどしないぞ。正々堂々と勝負を挑むのでは駄目か? 全力全開、ここはパンツも脱いでいくつもり」
「駄目!! 難易度Sだし、気持ちは分かるんだけど……観戦する冒険者もいるわけだから。阿修羅も目の前でそんな姿を見たら……」
マンが全裸で登場したら、注目を浴びないわけがないと思うけど……それだけでカナリアの歌に勝つというのは……全裸のせいで観戦中止の可能性もあるから。けど、マンVS阿修羅の戦いはちょっと見たい気がするんだよね。
マンと互角に戦えるだけで凄いと思ってしまうかもしれないし、逆に上には上がいると知る事が出来るだし。
「ぷっ!! 面白い発想をするな。阿修羅が仕掛けてくる可能性もあるし、それもありだな。その間は俺達が魚人達を相手にしないと駄目なんだが」
兄さんはマンの発言が面白かったのか、笑いながらもマンの背中を叩いてる。全裸、姿が駄目だけで、マンは面白い奴だから、兄さんが気にいるのもおかしくないからね。
「俺にも案があるんだよ。出来るかどうかは別として、【合体技】をするというのはどうだ?」
「【合体技】!! それは熱い展開だぞ。プロレスでいうツープラトンだな」
マンは兄さんの【合体技】という言葉に目をキラキラさせてる。【合体技】とか男性は好きそうなイメージがあるから。
「【ユニユニ】にそんなのがあるなんて、初めて聞いたんだけど? 私達メンバー……というか、私達の職業で出来るわけ? 【アーツ】を使うなら、私と四壱でも難しいでしょ」
戦闘に関して、【アーツ】で考えるとすれば、紅と四壱しかいないんだよね。兄さんは【調合士】で道具を使う形になるし、私と三太は【僧侶】で回復や補助がメイン。攻撃魔法である【ターンアンデッド】と組み合わせるものはなさそうだし。
更に言えば、マンの【漢】は【アーツ】が一切使えないから。