PK阿修羅
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「阿修羅を知らない!! まぁ……カズハとマンはランキングとか気にしなさそうだからね。ランキング一位が千様、二位がブラック、三位が阿修羅らしいわ。パ……ブラックから冒険者の中で一番危険な人物だと言ってた。そんな奴が一緒の防衛場所とか最悪でしょ」
「一番危険な人物って……どういう奴なのよ?」
私と兄さん、四壱は【魚人軍襲来】の観戦を止めて、マン達と合流。関所を出てすぐの場所で、三太が永遠とシャトルランをしてる。それも【神聖魔法】を唱えながら……持久力もそうだけど、途中で【アーツ】をキャンセルしないようにするため?
マンは三太に激を送っていて、紅は私達が来たのを見るや、戦場の報告を聞いてきた。本当は気になってはいたんだと思う。
「俺が持つ阿修羅の情報は少ない……噂程度に過ぎないからな。逆に取材してこいと頼まれてるぐらいだ。それだったら、君の方がまだ阿修羅の事を知ってると思ってな」
「……噂と同程度ぐらいだと思うけど? 仕方ないわね」
四壱曰く、阿修羅が同じ防衛場所になった事で一番驚いていたのは紅だったみたい。という事は、何かしらの情報を持ってるはずだと、紅に話を聞きにきたわけ。
「彼女は生粋の一匹狼、ソロプレイヤー。そして、一番のPKで……戦闘狂ね。PK可能域だけの話じゃなく、どこでもお構いなし。魔物よりも、冒険者を相手にしてる方が多いかもなんてね。ブラックもパーティーで行動中に挑まれて、残ったのはブラックだけ。それは大分前の事らしいけど」
PKは一番最初に遭遇したけど、それは初心者からレアアイテムを奪うため。阿修羅の場合は無差別に冒険者を襲ってる? パーティーが相手でもお構いなしなら、強い相手を求めてる? というか、女性キャラな事も驚きなんだけど……
「おっ!! カズハ達もようやく、こっちに来たな。何の話をしてるんだ?」
マンも私達が来た事に気付いて、話に加わってきた。三太は……離れた場所に大の字で倒れ込んでいるから、こちらに来るには時間が掛かりそうかも。
「阿修羅の話よ。筋肉にも少し話したでしょ」
「なるほど!! 強い相手と戦いたいという、彼女の気持ちは分からなくもない。私も一度手合わせをしたいぐらいだぞ」
マンは阿修羅の事を悪く言わない。よく考えると、阿修羅とマンはPKをしないだけで、同じタイプな気がする。私も若干……そっちのよりな気もするし。
「阿修羅もレア職業だと噂されてるな。その職業の【スキル】でPK可能域以外の戦闘によるペナルティがないらしい。もしくは、そのペナルティ自体を気にしてないか。ペナルティは能力の減退+何日かの謹慎処分だったか。これも犯人が特定出来た時だけらしいが」
兄さんの情報は職場から? PKに関してはギルドから詳しく聞いてなかったから助かるんだけど、能力減退だけでなく、謹慎処分になるぐらいに本来は駄目って事でしょ。
「それはブラックも言ってた。そんな事したら、誰ともパーティーを組めないでしょ。逆に職業のデメリットとして、パーティーが組めないから、それが出来るのかも」
「マンの装備を増やしたら弱くなる……みたいな感じか」
マンの職場【漢】は装備を増やすたびに弱体化。全裸の方が強くなるわけで……カナリアの職場【歌姫】も、歌ってる間は攻撃や防御不可。レア職業はデメリット部分が必ずあるのかも。