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お前……そんな状態で大丈夫か?


【アイン】の北出入口。【嘆きの森】に行くのと反対側。そこに酒樽を十個乗せた馬車が出発を待ってる状態。これを私とマンが【ハイソン】という村に護衛しながら送り届ける事が今回のクエストなわけなんだけど……


「お前達……そんな状態で大丈夫か?」


 酒屋の店長が心配そうに声を掛けてくるんだけど、誰のせいだと思ってるのよ。あんなに大酒を飲ませておいて……というのは冗談で、樽型ジョッキの中身は葡萄ジュースでした。店長が言うには心意気を見たかったんだってさ。


 店長が心配してるのは多分装備の事だと思う。私が武器を装備してない事は少しあるかもしれないけど、マンに至ってはパンイチだからね。職業が【漢】だとしても、店長が心配するのも当然かも。


「そこは大丈夫だと思います。拳の方が殴り慣れてるので」


「おっ……おう……物騒な事を言う女だな。見るからに僧侶なんだが」


【木のステッキ】は売ってしまったし、慣れない武器よりも拳の方が信用出来るから。


「店長の言う通りだな。万全の状態で挑むべきか」


「ちょっと!! ちょっと!! ちょっと待った!! 何脱ごうとしてるのよ!?」


 マンが【気合のブリーフ】、パンツを脱ごうとしたんだけど!! 店長に渡されて飲んだのが本当にワインで、酔っ払ってる状態じゃないよね?


「いや……【アイン】を出たから大丈夫じゃないのか? これを脱がないと力が半分以下になる気がするんだが」


「半分以下は言い過ぎでしょ。弱くなるのは分かるけど、クエストを引き受けてるわけだからね。ノーパンの人が酒を運んできたらビックリするから」


 スキル【裸一貫】で装備がない方が強くなるのは分かるんだけど、【アイン】みたいに追い払われる可能性もあるわけよ。


「脱いだ方が強くなる……としても、最低限パンツは履いて欲しい。店の信用問題に関わってくるからな」


 酒屋の店長もそこはちゃんと指示してくれた事に感謝。一緒に行動するからには、パンツぐらいは履いた状態じゃないと。本音を言えば、もう一つ装備を増やしたいぐらいだから。


「そこまで言われたら仕方ない。人が関わるクエストはパンツが必須という事か」


 マンはガッカリしたみたいに肩を落としてるんだけど、それがストレス発散になってたから申し訳ない。それでもパンツはね……


「それでは出発してくれ。【ハイソン】の場所は【MAP】に記しておいたからな。後は説明した事を忘れるなよ」


 店長が説明したのはクエスト内容の追記。


・酒樽は全部で十個。それを全部無事に運べば追加報酬に好きなお酒を選べる。


・酒樽八個までは報酬通り。それ以下になると報酬は減額。三個以下だとクエスト失敗。全て無くなった場合は弁償扱いになる。


 つまり、クエスト失敗もちゃんとあるわけで、酒樽を四個は確実に【ハイソン】まで届けないと駄目って事。全部運ぶのに成功すれば、好きなお酒を入手出来る。お酒の中にレアアイテムがあれば、千城院さんも喜んでくれるかもしれないから、ここは成功させておきたいかも。


「大丈夫です。全部運んでみせますから」


「頼んだぞ。この時間に出発すれば、到着する前には夜になるかもしれん。夜は魔物も強くなり、危険だ。ゴブリンも現れるから注意しろよ。集団で襲い掛かってくるからな」


 ゴブリンはRRGで定番の魔物。【アイン】に【ゴブリンの鼻焼き】があるぐらいだから、出現するとは思ってたけど。昼と夜とで登場する魔物が違う時もあるみたい。


「魔物だけじゃなく、野盗にも気をつけろ。襲い掛かるだけじゃなく、言葉巧みに荷物を奪おうとする時もあるから」


 酒屋の店長もどれだけ心配するんだろう。話が長いと、危険な夜が来るのが早くなるのが分からないのかな?


「夜になると危険なので、すぐに出発します」


「おっ……おう。話が長くなってしまったな。行ってくれて構わないぞ」


 そういうわけで、店長の話を無理矢理切り上げて、私とマンは【アイン】から馬車を出発させた。

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