ウサ男からの情報
「アキンドーは流石だったよ。少し遅れての登場もそうだったが、完全に他の冒険者のフォローに回っていた」
「他の冒険者? カナリアだけじゃなくて」
「カナリアへのフォローは当然だな。カナリアの歌は効果的で、一番目立っていたぞ。防衛の映像が別角度になっても、映ってたぐらいだ。アキンドーは回復アイテムをばら撒いたり、カナリアとは別の補助アイテムを使ったりと、自身達のポイントを度外視だ。アキンドーとカナリアはポイントを一つも手に入れてない。だからこそ、冒険者達はアキンドーやカナリアを守るようにも動く」
「ポイントなし!? 本当に注目される事だけを狙った行動だよね。簡単に出来るような事じゃないよ」
今回の【魚人軍襲来】は敵を倒した事でポイントを手にして、後からアイテムと交換する。そこにしかない物もあるし、先に進むにあたって重要な物も……それを完全に無視したわけでしょ。
「アキンドーには商店メンバーがいるこそ、出来たわけだな。後から売買する事も可能だろうから、無理に自分で手にしなくていい。BOSSを倒す事に執着してないからこそ、商人という職業を選べたわけだ」
「カナリアも力を強く歌っていて、まるでライブみたいだった。ちゃんと全体を見渡せる一番高い岩場をキープしてたし。一時的に空を飛ぶ道具も、アキンドーが用意したんじゃないかな? 場所も事前に見に行ったりしてね」
「そこまで念入りにしてたわけ? 私達は全然でしょ。難易度Sは流石に無謀……」
「俺達の目的はクリアじゃないからな。他の場所がクリア出来なかったのは準備不足もあるが、ギルドが教えてない事もあったからな。今の映像を見て、土日はクリアする場所が増える可能性はある」
「ギルドのウサ男って人からメールが届いたんだけど、カズハの名前もあるし……何か知ってる?」
ギルドのウサ男……ウサ耳オジ受付だわ!! 情報を寄越すように言ってたから、【戦闘演習】に参加したメンバーにメールを送ったのかも。
「まぁ……常連になる代わりに情報を……なんて」
【メール】を確認してみると、確かにウサ男の名前で送られてきてる。後……今更なんだけど、兄さんの口調で、あの姿と声は違和感が拭えないんだけど……
「獣人の国の天気予報? 今日から最終日まであるみたいだけど、そんなの必要……殆どが雨マークじゃない。時間も丁寧に表示してくれてるし」
「その雨が問題なんだよ。失敗した原因の大半は雨だと踏んでいる。アキンドー達は最初であり、海の近くという事もあり、雨はまだ降ってなかったからな。どんな風なのかは見た方が早いか。カズハも難易度Aを見るぞ」
難易度Aの防衛が始まるみたい。難易度Sが数人であるなら、難易度Aは百人。人数差があるだけで、戦闘は同レベルの可能性も……
ここを選ぶのは強さに自信のある冒険者達だと思う。それが雨ぐらいの影響があるとは思えないんだけど……