お金が足りません
「ペアであれば、一度だけパートナーを一度だけ復活出来るだったな。そのアイテムは……ない!! 調合も無理だ。何の素材が必要なのかも分かってないぞ」
兄さんに自信満々に言われた事に、紅は口をあんぐりと開けてる。こういう感じは案外マンと似てるかも……
「七兄が持ってないんだから、当然僕も持ってないからね。僕や七兄も【ユニユニ】を始めて間もないから、素材もエルフの国以外の全然だから」
そう言われるとぐうの音も出ない。私達のヒューマの国と獣人の国の素材を少ししか持ってないから。貴重な物ならすぐに手に入る物で作れるわけもなさそうだし……
「あてが外れたわ。最終日で決定なら、それまでに探しに行くのもありか。獣人の国以外は行けるらしいし」
紅がガッカリするのは分かる。とはいえ、蘇生する道具や方法がないわけじゃないからね。クエストの報酬だったり、教会で蘇生の神聖魔法をGET出来るところを見つける事も……
「なんや? 話を聞く限りやと、蘇生のアイテムが【天使の微笑み】が必要みたいやな。わてが持ってますけど、売ってやっても構わんで。ちゃんとペア分のもあるし、昔のよしみで安くしたる。一つ100000Gのところを半額の50000Gや」
アキンドーが会話に割って入ってきた。職業が商人ともあって、兄さん以上に商品として持っててもおかしくないわけなんだけど……
「50000G!? しかも、半額でそれなの!! 商人だからって、ボッタクリしてるわけじゃないでしょうね。本当は売るつもりもないんじゃないの?」
「なわけあるかい。そんなんやったら、【天使の微笑み】を持っとるとは言わんわ。それに四壱はんをプロデュースする前から、信頼関係を失うような事は出来んやろ?」
紅はボッタクリと文句を言ったけど、本当に【天使の微笑み】という蘇生アイテムは高いんだと思う。兄さんも反論しないし、四壱の信頼を落とす事もないと思う。ただ……
「はっきり言うけど、そんな大金は持ってないから」
【闘技場】で稼げたのも20000Gで、それも今は10000Gを切ってるから。【転移の翼】もそうだけど、外で【ログアウト】するための寝袋とか、必要な物を買った結果だからね。紅もウンウンと頷いてる。
「僕達も持ってないね。素材は売らずに調合に回す事が多いから。失敗したらゴミクズになるだけだしね」
「だな。常に俺達は貧乏でもある」
調合するために素材は必要だから。四壱もそこまで気にした感じがないのは兄さんが好きだからでしょ。
「マンだったら、一つぐらいは買えるんじゃないの?」
マンは【闘技場】で私以上に連勝して、【ゴールド2】まで行ったんだから。それに私と出会うまでは街に入れず、色んな素材もあるかもだし、Gを拾った事も……
「すまない……お金は未知なる食べ物を買う事に残しておきたい」
「……仕方ないか。結構な額だしね。私達が払えないからって、マンだけが出すのもおかしな話になるわけだし」
マンは素直に答えただけに、納得するしかない。マンが貯めたGだしね。私達が文句を言える立場じゃないから。食べ物に目がないのがマンだしね。
「というわけで、折角の申し出だけど、Gが足りないから」
「待ちいな。値段は言ったものの、払えないのも想定済みや。やから、その代わりに情報……わての幾つかの質問に答えてくれたらいいさかい」
「質問? それだけで良いなんて、逆に怪しいんだけど?」
「スリーサイズとかはセクハラになるわよ」
質問に答えるだけで、100000Gもする【天使の微笑み】をGET出来るのは怪し過ぎるでしょ。
紅もセクハラの質問は却下するつもりみたいだし。
「答えるのが無理な質問は言わんでも構わんで。その答えに価値を得るやつかもしれんからな。それは四壱はんの情報ではなく……」
アキンドーは兄さんや四壱を見ず、私達の方に目を向けた。