三太、消失す
「あの……説明を続けても大丈夫ですか? 次は【魚人軍襲来】のルールもですが、注意事項といいますか」
「だ、大丈夫です。説明を続けてください」
ウサ耳オジ受付の放置したのは申し訳ない。最後まで説明を聞いてからにしないとね。
「【魚人軍襲来】が開催されると、防衛に決められた時間以外は獣人の国に入る事は出来ませんので、気をつけてください。他には」
・二十五日金曜十八時から開始。場所や時間によって強さが違い、時間が経過する事によって魚人軍も強化されていく。だが、最終日でも弱い場所はちゃんと用意されている。
・防衛場所には定員数があり、場所によって変わってくる。敵の強さもDからSまで用意されているが、冒険者ランクは関係なし。どの場所でも定員数さえ超えてなければ参加可能。
・クエスト中に死亡すればリタイア扱いになり、戻る事は出来ない。途中、【ログアウト】した場合もリタイア状態になり、再度防衛場所に戻る事は出来ない。
・クエスト開催中、獣人の国以外の場所の冒険は可能。【MAP】で獣人の国を確認。防衛場所をTAPすれば、戦況を覗き見る事も可。
・敵の素材を入手して、リタイアになったとしても持ち帰る事は可能。所持する道具も落とす事はなし。生き返るためのGも必要としない。
「これぐらいですかね。他は……頑張って調べますから。クエストの時間や場所はすぐにでも決めますか?」
ウサ耳オジ受付の説明が終わって、次は防衛の時間と場所選びなんだけど……
「他の仲間と一緒の場所にするから、話し合った後で決めますから」
兄さんや四壱がアキンドー達の防衛場所を教えて貰ってるはずだから、そこに対抗出来る場所を見つける事が出来たらいいんだけど……
「まずは四壱のいる所に戻らないとね」
「あっ!! ちょっと……すみ」
ウサ耳オジ受付から離れて、四壱や兄さん達がいる場所に戻ろうとする前に、三太の姿が忽然と消えてしまった……というより、【ログアウト】したんだと思う。
「あ〜……時間が結構過ぎてたのかもしれないか。強制的に解除されたんでしょ。あっちの声が聞こえた感じがあったし、危険は流石にないでしょ。イベントが始まると、何処から始まるかも分からないし、【ログイン】した時にでもメールしておくわ」
強制【ログアウト】は自身が危険に晒されるた時、地震や火事の時も自動になるけど、今回は家族? 誰かに外側からVRゲーム自体を解除されたのかも。
防衛場所や時間については、【フレンド】になってる紅が三太にメールしてくれるみたいだから、一安心ではある。
「戻ってきたな……っと、彼は場所を決めるまでは時間が足りなかったか。少し申し訳ないな」
私達が戻ってくると、兄さんはすぐに三太がいない事に気付いたみたい。
「それは仕方ないよ。後から紅がメールしてくれるらしいから、大丈夫。それよりも……アキンドー達が選んだ場所は? 同じ場所を選ぶ事なんて……」
「わては別に構わんかったんやけどな。定員もギリギリ入れるさかい」
「それはないと言っただろ。一緒の場所を選んだら、俺達の勝ちはなくなるだろうからか」
兄さんはアキンドーの案を一蹴。とはいえ、アキンドーとカナリアが選んだ場所は……難易度Sだったり? ランキング上位だし、目立つ事を考えると……
「何? 難易度が難しい場所を選んだわけ?」