歌姫という職業
職業【歌姫】はマンの【漢】同様にレア職業みたい。【漢】が前衛職なら、【歌姫】は支援職。全体バフを得意みたい。歌い続けると効果、範囲が拡大していく使用。それは歌が終わると同時に効果も消えるけど、僧侶の補助魔法よりも強化される。
敵に対するデバフや毒や眠りの効果がある歌もある。ただし、歌っている間は攻撃や防御は不可。回避は可能だが、歌がキャンセルされる可能性があって、基本は歌に集中するしかない。
他に特徴があるとしたら、ファンという存在。【フレンド】とは別に【ファン】を獲得する事が出来る。それは一度でも歌を聴けば、歌姫に申請可能。【フレンド】みたいに道具交換はないけど、歌姫に送る事は可能みたい。
勿論、【ファン】にも恩恵がある。同じパーティーや、大型イベント時に【応援】という名のGを提供すれば、バフの効果が倍増する。【ファン】数によって、歌姫の強さも変動するんだって。
この大型イベントで多くのファンを獲得すれば、最強の支援型の冒険者。千城院を越える事も可能と、アキンドーは話してるけど……それは千城院さんが参戦してないから出来る事だから!!
「なるほどね。大型イベントにうってつけの職業だわ。注目されるの間違いなし。その上、ランキング八位なんだからさ」
しかも、ランキング四位のアキンドーまでいるんでしょ。二人の【フレンド】数が多かったら、アキンドー商店メンバーだけで一つの場所が埋まったりするんじゃないの? その全員がカナリアのファンだったら……
「取り敢えず、カズハ達は【魚人軍襲来】のクエストを受注してこい。その間にアキンドーがどの時間、場所を選んだかを確認しておくから」
「教えるのは全然構へんで。どの場所に誰が参加するかの確認も出来るようになってるさかい」
私とマン、紅と三太は参加を決めている四壱、兄さん、アキンドーとは離れて、受付のいる場所へ。【魚人軍襲来】のクエストを受注する前に、【戦闘演習】の報告をしておかないと。
受付がいる横の壁に大きな地図がある。そこは獣人の国の地図であると共に幾つかの点があるのは、戦場となる場所なんだと思う。けど、参加が決定すれば、受付を通さずに【MAP】を広げる事で登録や情報が提示されるみたいで、兄さん達はそっちで確認してる。
「三太は紅とペアになるんだから、紅が場所を決めたら問題ないかも。急いでるなら、任せてもいいんじゃない?」
「私は別に構わないというか……カズハ達と同じ場所を選ぶだけだから。アイツはムカつく感じだし、ここは協力してあげるわ」
紅はブラック以上と言われた事もあるけど、アキンドー自身の態度自体が嫌いになったのかも。
「ぼ、僕も当然お手伝いされてもらいます。それと受付の説明を聞き終わったら、【ログアウト】しようと思うので……お願いします」
「へぇ〜……カナリアに握手されて、満更じゃないって顔をしてたから……あっちの協力するとか言い出すのかと思ったけど?」
紅はニヤっと笑いながら、三太に言ってる。
「か、カナリアさんも可愛かったですけど、僕の推しは姐さんですから。勿論、師匠もですよ」
三太はアワアワした感じで否定してる。紅とカナリアだとタイプは全然違うからね。マンの場合は女性でもないから。
「冗談……と言いたいところだけど、カナリアの方は三太をファンになりそうだとロックオンした感じだったから、気をつけなさいよ。私達と握手した時とは違ってたからね」
紅もそこは気がついてたみたい。私達の中だと三太が一番ファンになってくれそうなイメージがあるのは分かる。