アキンドーは話し過ぎる
「場所を決めたのなら、別に待ってなくても良かったぞ」
「いやいや……7が同じ場所を指定するか否かで、対策せなアカンやろ。やっぱり、四壱はんは中性的な姿、醸し出してる雰囲気もええな」
「ちょっと……貴方がアキンドーでしょ!? 四壱をジロジロ見ないでくれる!! 迷惑なんだけど」
「おおっと……スマンスマン。そう言うあんさんは7の妹か? 何かしらの雰囲気は感じ取れるけど、人気とかそういうのではないな」
アキンドーは兄さんの前で足を止めず、四壱の周囲を回り出すから注意した。アキンドーも悪気があったわけじゃないから、すぐに四壱に頭を下げたわけなんだけど……
「スマン。勝手にカズハの話もしてしまった」
だろうね。7の妹と言ってる時点で、兄さんが話したと思った。それもなんだけど、戦闘もしてないのに、雰囲気が違うみたいな事を言われたのは初めてかも。
「話したのなら仕方ないけど……これがランキング四位」
「ハハっ!! これ扱いは酷い話やで。そう思われても仕方ない姿やけどな。力も強いわけでもなくて、世渡り上手みたいな感じや」
アキンドーの姿は呉服姿と特徴のある服を着てるんだけど、それ以上に瓶底眼鏡と髪型がちょんまげという目立つ姿をしてる。しかも、武器なのか盾なのか……背中にあるのが巨大なそろばんというのも……
「今回も7と久しぶりに会おて、四壱はんを見つけたのも運命や。7が勝負にも乗ってきたのも、さっきので負けたかいがあったわ」
「な、何だと!?」
今回の勝負のため、アキンドーは兄さんにわざと負けたって事!? 兄さんも本気で驚いてるのは、相手を騙す……駆け引き上手ってやつ?
「冗談や、冗談。勿論、わざと負けた事やで。それと……あんさんがわて等よりも目立つための秘密兵器やな……って、あの野人やないか!! しかも、真っ裸やないで」
「ん……私と会った事があるのか? すまない。そんな姿なら、覚えていると思うんだが」
アキンドーの視線はマンの方に。しかも、マンの事を知ってるみたいだけど、マンの方は会った記憶はないみたい。とはいえ、マンもある意味で有名人だったと思うし。
「いやいやいや……わてが一方的に知っとるだけや。見たのも一度だけ。たまに情報が流れてきて、冒険者になれたところまでは知っとたんやが」
アキンドーは大袈裟に首と手を振り、マンが謝った事に対して、またしても頭を下げる。
「彼に目を付けるのは7も流石や。四壱はんだけじゃないから、勝負を受けたわけや」
まぁ……目立つとすれば、マンの姿は目に付くと思うし。私からマンの話を聞いてたから、協力を申し出たんだろうね。
「はぁ……アンタ、一方的に話し過ぎじゃないの。自分から名前も言わないし、入口前の彼女も紹介待ちじゃないわけ? こっちは仲間が【ログアウト】する時間だから、その前にイベントの参加、時間や場所を決めないと駄目なんだけどさ」
「あ、姐さん!!」
直球!! 紅は言葉をオブラートに包まず、ストレートにアキンドーのマシンガントークに文句を言った。三太も【ログアウト】しないと駄目だし、ここで時間を費やす暇もないんだよね。三太からは何も言えそうにないから、代わりに言ってあげたんだと思う。三太はその行動に感動してるから。