四壱をプロデュース?
「はぁ〜……七兄の事だから、昔のゲーム仲間に負けたものだから、こっちで勝負を申し込んだんじゃないかな」
兄さんが【ログアウト】した理由は昔のゲーム仲間と【ユニユニ】とは違うゲームをするためと、四壱は言ってた。兄さんはブラック会社で働いてたせいで結構なブランクがあるから、負けて当然だと思うんだけど……負けず嫌いなところがあるから……
「ち、違うぞ。俺の方が勝利したからな。ただ……【ユニユニ】では負けないと。育成の方に力を注いでると言われて」
兄さんはゲーム仲間に勝ちはしたけど、【ユニユニ】では負けないと言われたみたい。けど……
「育成……って、ゲームを間違ってるんじゃないの? そんな職業が……【ユニユニ】だと、ないとも言い切れないのか」
私達は時間が勿体ないと、宮殿のギルドに向かいながら、兄さんが再度【ユニユニ】にログインした理由を問いただした。
「【ユニユニ】の中で千みたいな有名人を輩出するのが目標らしくてな。今回のイベントでも、水着のモデルを勝ち取るつもりらしい」
そういえば、そんな報酬もあった。ポイントじゃなくて、注目を集めた冒険者数人に対して、水着モデルになってもらうんだったかな? 今回、千城院さんが参加せず、水着モデルにもなれないから、その報酬は頭から消えていた。
「ふ〜ん……それが勝負と何の関係が……って、まさかだよね。ポイント勝負とかじゃなくて、水着モデルに選ばれるかの勝負なんて事は……私は嫌だからね」
私自身が水着モデルになるなんて、絶対嫌!! それにロリ姿の兄さんが水着モデルになるのを見るのもゾッとするから。四壱に関しては……需要があるかもしれないけど。マンは……ほぼ、そのままだから。
「……少し違うな。色々と理由があってだな。奴が四壱の姿を見て、プロデュースしたいと言ってきたわけだ」
「僕はそんなのに興味ないからね。七兄やカズハと冒険出来るだけで十分だから」
四壱が嫌というなら、そこで話は終わり。四壱が【ユニユニ】を始めたのは、兄さんが理由だから。他の冒険者と一緒にいるわけがないし。
「俺も最初は断ったんだが……仕事関連で、そいつの記事を書く事になってしまったんだよ。その協力をして貰うため、奴が勝つと一ヶ月間四壱をプロデュースするとして、俺が勝った場合は【ユニユニ】の色んな情報を提供する事になってだな」
「うわ……仕事に託つけて、四壱のプロデュースを手に入れようとするなんて、最悪でしょ」
紅は悪態をつくのも仕方ない。兄さんが新しい仕事を始めたばかりで、断り辛いのは私や四壱は分かるから、何とも言えないから。
「そういう奴とも分かってるからな。悪気があるわけじゃなく、純粋に四壱の事を推してるだけだぞ」
「あの……四壱さんをプロデュースするといっても、7さんの知り合い自身が有名じゃないと……」
そこは三太の言う通り……と思うんだけど、兄さんの仕事、【ユニユニ】の記事になるような冒険者なんだから、知名度はあるはずでしょ。
「一応……ランキングは四位。アキンドーという名前だな。【フレンド】が多数いて、色んな奴とパーティーを組んでるみたいだが」