成績発表
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「ふぅ……宣言通りにやられてしまうとは。【戦闘演習】はクリアじゃな。ここまでは圧倒的になったのは五……三回目ぐらいか。冒険者のランクで力を判断するのは止めておくとするか。ベアード含め、鍛え直すのも必要じゃな」
【戦闘演習】はものの十分程で終了。マンの強さもあるけど、四壱の弓の精度が圧倒的だったから。
四壱の撃破数は九、マンが四、紅に至っては一体なのが物語ってる。
人数差があったとしても、獣人側が的二つだったのは大きいかも。ウルフルと戦闘して分かったけど、獣人達は決して弱くなかったから。
「流石だな。四壱のお陰といっても過言ではないな。私も全然活躍出来なかったぞ」
「いえ……ルールがマンにとって不利なだけで、それがなかったら、撃破数は僕が負けてたと思うよ」
マンと四壱は互いに健闘を讃えてる。確かに普通の戦闘だったら、マンが一撃で倒してた可能性はある。ちなみにベアードは四壱の弓に散っていき、マンとの再戦は果たせなかったというね……
「はぁ……私もまだまだだわ。四壱の補助があって、やっと倒した感じだったし」
紅は【ダブル】と三太の【ハイスピーダー】で、黒豹の獣人を倒してた。黒豹は【ダブル】、紅二人分の攻撃を捌き続け、最後には四壱の牽制の弓が黒豹人の隙を作ったのも大きかったと思う。
「ぼ、僕に至っては戦ってもないですから」
「少年よ。そこは気にしなくていい。誰しも役割というものがある。俺も誰一人として倒してないが、相手を倒すための支援をした。それは少年も同じのはずだぞ」
兄さんが獣人を倒した数は三太と同じでゼロ。けど、四壱が獣人を撃破するための支援をしたのは確かで、三太は紅に【ハイスピーダー】の補助魔法を掛けた。
兄さんはその二つの行為は同じだと言いたいんだと思う。
「私が黒豹の獣人に勝てたのも、三太の補助魔法があったからなんだから。何もしてないわけじゃないから」
紅も三太の頭を軽く小突き、フォローしている感じはパートナーらしくなったのかも。
「さて……互いに健闘を讃え合ったところで、カズハ達は【魚人軍襲来】の参加だな。そして、場所と時間を決めるわけだが……」
「土日指定で、場所と時間は私達が決めてもいいんだよね? 四壱から聞いてるよ」
「だね。開始は二十五日の十八時から。もう少しで二十五日、金曜日になるけど、昼の十二時までに決めたらOKみたいだから」
【ユニユニ】の時間で、三十分もしないうちに金曜日になる。四壱と兄さんの実力が分かった以上、同じ場所を選ばないと駄目なんだから、勝つためにも考える必要があるかも。
「それだったら、ギリギリまで時間と場所を考え」
「あの……僕はそろそろ【ログアウト】しないと駄目なので、ここで決めておきたいんですが……」
三太はオズオズと手を挙げて、【ログアウト】時間を教えてくれる。これは私とマン、四壱と兄さんの勝負であって、紅と三太は別の場所や時間でも問題はないんだけど……
「ああ……その件なんだが、場所と時間も俺が指定してもいいだろうか? いや、決定されてくれ」
「……はっ? そこは兄さんが選んだら駄目でしょ」
思わず、兄さんと呼んでしまったけど、それも選んでしまうと、私達が俄然不利になるんだから。