連続魔法ではありません
「えっ!! えっ!! えっ!! あの突風は魔法ですよね!? 僕の【重複】とも違うし、発動、硬直時間もなし……意味が分からないですよ」
三太はB級の鳥人が倒された状況に理解が追いついてないみたい。多分、それは倒された方が一番そう思ってるかも。
「僕の方を見ても意味ないよ。【アーツ】を使ってないから。七兄がフォローしてくれただけ。驚く時間の分だけ、僕達とマンだけで【戦闘演習】を終わらせる事になるけど?」
「はっ!? そんな事はさせないし!! 三太は私に【ハイスピーダー】をかけて。的に当てるだけなら、力よりも速さ重視だから」
「は、はい!!」
四壱の率直な意見に、ようやく紅も戦場となる場所へ走り出した。
その間にも兄さんは地上側に炎の球、地面から土の槍、草の鎖等で獣人達の足止めをしてる。威力はそれほどなく、的にも当たってないんだけど、その【アーツ】の豊富さがヤバい……というより、三太が言った通りで本当に発動、硬直時間が一切ないから。
「……あれ? 兄……7の職業は【調合士】と説明があったよね。魔法の【アーツ】を使えたりするわけ?」
転職すれば他の職業の【アーツ】を使えるかもだけど、兄さんは【ユニユニ】を始めて数日しか経ってないわけで、それは流石に……
「半数以上は減らしたな。これ以上は止めとくしよう。それと……質問の答えだな。俺は魔法なんて一つも使ってないぞ」
兄さんは獣人達の数が半数以下になったのを確認して、攻撃するのを止めた。大半の獣人を減らしたは四壱の弓が的を射抜いたから。兄さんの謎の攻撃の牽制もあったし、マンの体当たりや投げで、宙に浮いた相手を狙ったのもある。
「スキルの恩恵もあるが、アイテムを使用しただけだ。【調合】は戦闘前でも出来るからな。事前に大量の準備が可能だ」
「七兄は馬鹿みたいな程、色んな素材を【調合】したからね。あれぐらいの攻撃手段は沢山作ってあるから」
「えっと……つまり、あの攻撃は7が事前に作った道具を使用してただけなんだ」
【調合】のイメージは回復アイテムの作成のイメージがあったけど、攻撃する道具も作れたわけだ。片っ端から【調合】したからこそ、LVも結構高くなってるからこそなのかも。
「そういう事だな。使ってしまえば、また素材の補充、作成と色々面倒な事はあるぞ。だが、そのお陰で【道具使用高速化】のスキルを手に入れたわけなんだが」
【アーツ】を使用した後みたいに、道具使用後も硬直時間は発生する。それをなしにするのが、【道具使用高速化】なのかも。だからこそ、【アーツ】のような攻撃を待ちなしで連続使用出来るわけだ。
「というわけで、俺の支援はここまでだ。本番を控えて、道具を乱用するわけにもいかないからな」
本番というのは【魚人軍襲来】の事だよね? 敵を撃破してのポイント勝負になると思うんだけど……ヤバいでしょ!! 兄さんと四壱の大多数相手の捌きようが圧倒的に差があるから。この【戦闘演習】をやったのは正解だったわ。