パーティー組みます
マンの冒険者登録で色々分かると思うんだけど、【フレンド】からでも【職業】や【アーツ】、【スキル】を見る事が出来るので、一度やってみよう。
マン
【ランク】 ✕
【職業】 漢
【アーツ】 ✕
【スキル】 【裸一貫】 裸時、身体強化と補助魔法等の効果上昇。ただし、装備を増やすたびに減少していく。
【サバイバル】 【ログイン】時、最後に訪れた街ではなく、【ログアウト】した場所から始める事が出来る(選択可)
【ノーガード】 防御行動に移行するまで、攻撃力上昇
【忍耐++】 耐久力アップ
【打撃+++】【投げ】【関節】【毒耐性○】【麻痺耐性○】【自然回復+】【鷹の眼】……
「【スキル】多っ!! 【アーツ】を覚えない代わりに、【スキル】が身に付けやすいとかなの?」
「そうなのか? 全然気にした事がなくてな」
「……そんな気がしてきたわ」
マンは普通に行動してただけで、【スキル】とか全く気にしてなかったのかも。【アーツ】と違って、自然と体に身についてるようだし。私の【受け流し+】や【回避+】と同じ感じかな。
「マン様の登録が完了……って!! 凄いです。【スキル】の豊富さもそうですが、魔物の撃破と素材の多さ。ヒューマ国近辺の魔物の大半を倒してます。実力的にはすでにB級はありますよ!! 今まで冒険者になってないのが信じられないくらいです!!」
受付嬢は怖さが何処かに吹き飛んだみたいに、マンの強さに興奮してるみたい。ギルドにいるプレイヤー達もそれを耳にしてザワついてる。
マンが冒険者になれなかったのは、パンツを脱いだ状態で、門番に街へ入れて貰えなかっただけと思うんだけど……
それでも、マンが受付嬢が興奮するほどの凄いプレイヤーという事は分かる。PKを簡単に追い払う事が出来るぐらいだからね。
「これなら、パーティーになりたいと思う冒険者は多いかもしれませんよ。E級のクエストを攻略した後、D級を飛び越し、C級になれるはずですから」
そこで手を上げる冒険者は……いないみたい。あの姿なんだから、マンが有名になっていてもおかしくないんだよね。【嘆きの森】じゃなくても、街以外で見かける事があったかもしれない。ヒューマ国近辺の魔物の大半を倒してるみたいだから当然でしょ。
けど、マンは少し抜けてるところがあるから、誰かと一緒にパーティーを組むのもありだと思う。私の場合、千城院さんという先約があるわけで……
「いや……パーティーを組むなら、カズハで十分だ。クエストも一緒にクリアしていく。C級への飛び級も必要ないぞ」
「そうそう、私だけで十分……私!? 他の強い人達とも組めるかもしれないんだよ!?」
「カズハは見た目で判断しないからな。……駄目なのか?」
押し付ける感じじゃなくて、犬がシュンとした時みたいに落ち込むのは卑怯だからね!! マンの姿を見て、逃げ出すプレイヤー達がいたから仕方ない事なんだけどさ。
マンは見た目はアレだけど、悪い奴じゃないし、ここにいるプレイヤー達とパーティーを組めと言われたら、マンを選ぶ。マンもそれぐらいには私を信用してくれてるのかもしれないんだけど……
「駄目……というわけじゃないんだけど、マンには憧れの人がいると話したでしょ? その人とパーティーを組んでみたくて」
その事はマンが【アイン】の街まで案内してくれた時に話してあるから。
「それなら問題ないんじゃないですか? パーティーは基本的にクエストを受注する際に編成されます。そのクエストが終われば、解除されますから。固定メンバーでクエストを受け続けるのも良いですし、様々な冒険者と挑むのも悪いわけじゃないですよ。勿論、一人でクエストを受ける事も可能ですけど……」
確かに……【ログイン】する時間帯が違えば、別のパーティーを組まないと駄目な時もあるわけで。クエストでパーティー編成をするなら、マンと組んでも問題ないかも。
「それなら大丈夫だけど……マンはそれで良いの?」
千城院さんの繋ぎみたいに思えるし、マンからしたら、感じが悪いかもしれない。
「全く持って、構わないぞ」
マンは落ち込んでたのも束の間で、笑顔でサムズアップを私に向けてきた。それだけ嬉しかったみたい。
「それでは早速E級のクエストでパーティーを組んでみますか? E級にあるクエストは五つ。同時に引き受ける事が出来るのも五つまでとなってます」
「という事は、全部一緒に受けた方が良い感じなの?」
所謂、チュートリアルみたいなものなのかも。【アイン】の街から始めるプレイヤー達もいるわけだし。
「そうですね。同時進行した方が効率が良いと思います。パーティーを組んだ状態だと、戦闘の幅が広がりますし、魔物が落とす素材も二人分手に入るのでお得ですよ。クエストの報酬がお金だった場合は分割になりますが、アイテムだった場合は全員分が貰えますから」
自身の行動で成長する面が変わるんだから、一人で戦闘するのと、二人で戦うのは全然違うと思う。役割分担もあるだろうしね。
「全員が貰えるなら、報酬による仲間割れもなさそうだ。報酬にそこまで興味はないから、カズハが全部貰っても問題ないぞ」
「そんなのは気にしなくてもいいよ。私もそこまで報酬が欲しいとまでは思わないし」
私の目的は千城院さんと仲良くする事だから。彼女が欲しい物があるなら話は別だけど。マンに関しても、今まで街に入れないままプレイしてたわけだから、今更なのかもしれない。
「カズハ様、マン様も報酬はきちんと貰ってくださいね。それではクエストを表示しますよ。今回は強制的な物ですが、内容や報酬でクエストを選ぶのもありですからね」
受付嬢はそう言って、私達の前にE級の五つのクエスト内容と報酬を表示してくれた。