クーラー完備されてます
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「おおっ!! 本当に宮殿はギルドになってる。冒険者がそこまでいないなと思ったけど、ここにいたわけね。理由としては……納得出来るかも」
獣人の国のギルド本部である宮殿の中に入ると、外の暑さが嘘のように涼しさがあるから。天井や壁には場違いなクーラーらしき道具が置いてある。その道具はこの暑さにギルドが持ち込んだのかも。獣人の国解放時に宮殿は半壊していた事もあって改装途中みたいだから。
ここでの受付は獣人だけじゃなく、人間と半々……むしろ、人間の方が多い? ギルドという存在は人間が組織したのかもしれない。それもあって、ヒューマ国のギルドみたいな雰囲気、内装になっていて、クーラーが置いてあるのかも。
人間の受付は獣人達に合わせたというか……猫耳とかウサ耳、羊の角とか、全員が付け耳、付け角をしてる。獣人の方は外のNPC達とは違って、ギルドの制服を着てる。もしかしたら、クーラーによって寒いと感じてる可能性もあるかな。
「まずはイベントの登録する前に、何でもいいからクエストを一つクリアしないと駄目だから。そこは覚えてるよね?」
すっかり忘れてた。始めた国以外でのクエストをクリアが必須。しかも、ギルド本部からのクエストじゃないと駄目だったような……
「……四壱は何のクエストをクリアしたわけ? すでに登録を済ませてるんだから、簡単なクエストがあるんじゃないの?」
紅もそこは忘れてたみたいで、簡単に済ます事が出来るクエストを聞いてみた。
「僕達の場合はここに来るまでに素材をGETしてたからね。それを紅達が所持してたから簡単なんだけど」
「素材か……」
私達が【サファリ】に到着するまでに手に入れたのは……【オーク肉】と【サソリの殻】、【サソリの毒針】【巨大蟻の頭】と……ろくな物がない。ちゃんと魔物を倒す以外に、採取出来る物を見つけておくべきだったかも。
「まずはクエストを見てみようじゃないか? その前に……三太を起こすか。時間は大丈夫かも聞いておかないと」
「三太が昨日【ログアウト】した時間まで……三時間ぐらいだったか? 本人に聞くのが早いんだけど……」
「その前に説教しないと駄目だけどね」
三太は絶賛気絶中。マンがおんぶした状態。何が起きたかというと……三太が王様である亀王に勝負を挑もうとしたわけ。多分、年寄で弱々に見えて、あれなら勝てると三太は思ったかもしれない。そんな相手を狙う事自体があれなわけよ。しかも、王様相手だからね。
それに獣人は前衛職以外に勝負を挑まないし、引き受けない。それなのに三太は何故気絶してるのか?
結論から言えば、亀王にやられたから。といっても、三太は亀王と戦闘したわけでもなく、言葉を掛けたわけでもない。
「こら!! 走るでない!!」と単に怒られただけ。亀王は三太の敵意に気付いて、近付かれるまでに怒声を放った。その威圧に三太は気絶。亀王も一応は獣人の王だったわけよ。
面倒臭いけど、私達は亀王に頭を下げて、気絶した三太を回収。亀王も許してくれた……というか、眠ってる? 下手したら、あの怒声は寝ぼけていただけかも……とは三太には言わないでおこうかな。