良い筋肉しているな!!
「そこのパーティー……いや、パンツの男は少し待て。他の冒険者は先に進んでも構わない」
「何!? 私だけが中に入れないのか? 君達と似た服装をしてるはずなんだが」
似た服装だなんて、パンツと腰巻きだけだから。服装と言える程の物でもないと思うけど……やっぱり、マンは一度は止められるわけね。
「やっぱり……と言うのはおかしいけど、マンが【サファリ】に入れない理由はなんですか?」
パンツを履いてる状態で【フォース】の街にも入れたんだから、【サファリ】が駄目って事はないと思うんだけど……
「ん? 違うぞ。その男が【サファリ】に入っても問題ない。これは俺個人の事だ。その男が良い体……筋肉をしていたからな」
「分かるのか? だが、私的にはまだまだ仕上がってないんだが」
マンは筋肉を褒められて嬉しそうなんだけど、私と紅、三太でさえも黙ってるから。
それは……否定はしないけど、NPCの獣人でもそっち方面があるわけ?
「おい……その言い方は勘違いされるぞ。コイツがその男を好きになったわけじゃないからな。獣人と出会うのは初めてか?」
「……そうです。獣人の国に来るのも初めてだけど」
鶏人が熊人をツッコミを入れ、私達に勘違いだと説明してくれた。
獣人は戦闘……練習試合的なものを申し込む事があるみたい。師弟関係になるためだったり様々。勿論、逆も可能で、冒険者が獣人のNPCに教えを請うのもありだとか。それは紅も口にしてた事。紅本人もそれを思い出したみたい。
「そういう事だ。魔物が襲ってくる事もなく、体が鈍っていたからな。そこの男と相撲をやってみたくなったわけだ」
相撲!? 何故相撲……と思ったけど、金太郎が頭に思い浮かんだ。そういえば、昔話で金太郎は熊と相撲をした気がするけど……それ?
「試合を申し込まれた以上、引き受けようじゃないか。相撲での力比べも面白そうだ」
マンも熊人の言葉に乗り気になってるし。マンは【クイーン】と力比べをしたぐらいだから、相撲でも負ける事はないはず。
「それなら、俺も楽しみたいぞ。俺の相手は身軽そうな双剣士になるか。俺を相手にすれば、空中戦を覚える言事が出来るかもな」
「へぇ〜……私を選ぶなんて、見る目があるんじゃないの?」
熊人かマンを相手に選んだ事で、鶏人も紅を相手に指定した。紅も私じゃなく、自身が選ばれた事で嬉しそうなんだけど……
「……私は? 私も戦ってみたいというか……」
私はマンよりは強くないけど、紅よりも強いはずでしょ。三太みたいに支援、補助系の【アーツ】を覚えないと駄目なのは分かってはいるけど、近接を学びたい気持ちの方が強いから。
「お前の職業は僧侶だろ? 俺達が相手をするのは前衛職、もしくは複合職だと決めている。後衛や支援職だと戦闘スタイルが違い過ぎるからな」
「近接を教えて貰えたり、戦闘体験するのは前衛職だけなの!?」
僧侶が教会で神父に【アーツ】の教えを請うのと同じみたいに、前衛職じゃないから無理ってわけ!? 紅からそんな事聞いてなかったんだけど!!
「そういう事もあるわよね。カズハは四壱との前哨戦もあるんでしょ。私とマンの事はいいから、三太を連れて先に行ってもいいから」
それを言われたら、先に行くしかないじゃない。前哨戦は無くなったと本当の事を言っておけば良かった。そうでなかったら、紅と鶏人の勝負に乱入……